認定こども園とは?保育士にとってのメリット・デメリット、保育園との違い

公開日: 更新日: 保育の基礎知識

認定こども園とは
幼稚園と保育園の2つの機能を兼ね備えた施設である「認定こども園」。その名前を目にすることも多くなり、就職先として検討する人も増えてきました。
しかし、歴史が浅い施設のため、その制度や働き方について、分かりにくいと感じる方も多いのではないでしょうか。

今回は認定こども園とはどのようなものなのか、その制度に関する詳細や、保育士が認定こども園で働くことのメリット・デメリットについてご紹介します。

認可、認可外、認証といった、それぞれの保育園の違いについて知りたい方は別の記事で解説していますのでそちらもぜひチェックしてみてくださいね。

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ますます増加する「認定こども園」その特徴とは

認定こども園とは

教育と保育を一体的に実施することで、幼稚園と保育園の両方の「良いとこどり」をしている施設が「認定こども園」です。就学前の子どもに対して教育・保育を提供する機能と、地域の育児に対する支援を行う機能を備え、都道府県の認可基準を満たしている点が特徴です。

認定こども園の設置は、待機児童の問題が深刻な保育園と、定員割れが課題の幼稚園、そして育児不安を持つ保護者の支援などの課題解消を目的とし、平成18年10月政府主導でスタートしました。

その数は平成30年4月時点で6,160園、こども園が誕生した翌年の105園から比べると、約60倍にも増加しています。今後、女性の社会進出や少子化対策、働き方改革が進めば、認定こども園は、ますます必要とされるのではないでしょうか。

認定こども園には4つのタイプがある

「認定こども園」は、その地域の実情に合わせて以下の4タイプに分かれています。

1)幼保連携型

幼稚園・保育園両方の機能をあわせ持っている、単一の施設を指します。「新設」あるいは「幼稚園・保育園が全面的にリニューアルされたもの」の、2つのケースがあります。「幼保連携型認定こども園教育・保育要領」に基づいた教育および保育が行われています。

2)幼稚園型

既存の認可幼稚園に、保育園のような機能を付加した施設を指します。基本的には「幼稚園」としての位置づけがなされるため、「幼稚園教育要綱」に基づいて教育が実施されます。

3)保育所型

既存の保育園に、幼稚園と同じような機能がプラスされた認定こども園を指します。基本的には「保育園」としての位置づけがなされており、「保育所保育指針」に基づいて保育が実施されています。

4)地方裁量型

幼稚園や保育所として認可されていない教育・保育施設ですが、地域の状況や市民のニーズを鑑み、「認定こども園」としての機能を地域住民に提供するケースです。
2019年4月時点でのそれぞれの施設数は、幼保連携型4,409園、幼稚園型966園、保育所型720園、地方裁量型65園となっています。

認定こども園と保育園の違い

認定こども園と保育園の違い認定こども園がどのようなものなのかが分かったところで、保育士として気になってくることといえば「保育園との違い」でしょう。

保育士の視点で認定こども園を見た際に、保育園と異なるのは、管轄、資格、子どもの認定区分の3つです。それぞれについて見ていきましょう。

管轄

認定こども園と保育園では、管轄する省庁が異なっています。「保育園」は厚生労働省が管轄する福祉施設であるのに対し、「認定こども園」は内閣府が管轄する幼保一体施設です。

保育園の場合は、施設の利用に際して就労や介護、病気などで「生活上、保護者の保育に支障をきたす場合」という条件があります。その一方で、認定こども園は保護者の就労や介護の有無や健康状態にかかわらず施設の利用が可能で、0歳から就学前までの保育と教育を受け持つことになります。

職員の資格

認定こども園で働くためには、幼稚園教諭と保育士資格のいずれが有利になるかは気になるところでしょう。認定こども園職員の資格は、こども園のタイプや子どもの年齢によって異なります。

・幼保連携型

幼稚園教諭の免許状と保育士資格を併有する保育教諭を配置。

・その他の認定こども園

満3歳以上の児童がいる園は「幼稚園教諭免許と保育士資格の両方を持った職員が望ましい」とされ、満3歳未満の児童がいる場合は「保育士資格」が必要です。

上記のことから、多くの認定こども園では採用時の条件として、「幼稚園教諭免許と保育士資格の両方を持っていること」をあげています。
いずれか1つしか持っていない場合でも、令和2年3月まで実施している特例措置制度を利用すれば、もう一方の資格・免許を比較的少ない学習負担で取得することができます。たとえば、保育士資格のみを所有している方の場合は、保育士として3年間(4,320時間以上)の実務経験を積んでいて、かつ大学で指定の8単位を取得すれば、幼稚園教諭免許を取得できます。

認定区分

幼稚園と保育園それぞれの良さをあわせ持つ認定こども園は、保護者の就労の有無にかかわらず、地域の子どもたちが一緒に過ごす場所です。そのため、認定こども園で働く際に1番の違いとなるのは、認定区分の違いにより子どもの帰宅する時間が異なることではないでしょうか。

保育園などを利用する子どもには、年齢や保育の必要性に応じて認定される区分が決められています。認定区分は1~3号の3種類があり、それによって子どもを預けられる施設も異なってきます。
保育園と認定こども園の認定区分の違いは、以下の通りとなります。

・保育園は、0歳~小学校に入るまでが対象年齢です。認定区分は2号、3号となります。

・認定こども園の対象年齢は、0歳~小学校に入るまでです。認定区分は1号、2号、3号です。

※なお幼稚園は、対象年齢が3歳~小学校に入るまでです。認定区分は1号となります。
認定区分は、「保育を必要とする事由」にあてはまるかどうかで判断されます。
「保育を必要とする事由」にあてはまらない場合の認定区分は、1号(もしくは認定の必要なし)となります。子どもの年齢が3歳~5歳で、「保育を必要とする事由」にあてはまる場合、認定区分は2号です。また、子どもの年齢が0歳~2歳で、「保育を必要とする事由」にあてはまる場合の認定区分は3号となっています。

認定こども園での仕事内容

認定こども園での仕事内容は、その園が元々保育園だったのか、幼稚園だったのか、それともまったく新規で設置された園なのかによって大きく異なります。実際の仕事内容や園内の雰囲気については、就職・転職を検討している認定こども園を見学し、保育分野に特化した人材紹介会社のコンサルタントに詳しく教えてもらうことをおすすめします。

どの園でも共通して注意が必要なのが、園児の帰宅時間のズレによる活動スケジュールの立て方についてです。
0~2歳児の3号認定と3~5歳児の2号認定の子どもの過ごす時間割は、保育園とさほど違いはありません。大きく異なるのは、14時に帰宅する3歳~5歳の「1号認定」の子どもたちの存在です。クラス全員に体験させておきたい活動は、14時のタイミングで終わらせるなどの配慮が望ましくなるでしょう。
また、クラスの中で「早く帰る子」「遅く帰る子」に偏りが出そうなときに、早く帰る子に対しても盛り上がった遊びを共有するなどの配慮も必要になってきます。

また近年では、小学校入学までの教育に力を入れる園も多く、サッカーなどの運動分野や英語教育、絵画教室など特徴的なカリキュラムを設けた認定こども園も増えています。保育士自身が得意なことを活かせる分野が就業先のこども園にあれば、より充実した教育を提供できることも魅力といえます。

保育士が認定こども園で働くメリット

保育園でもない、幼稚園でもない「認定こども園」で保育士として働くことには、どのようなメリットがあるのでしょうか。

保育と教育、子どもについて幅広い経験を積むことができる

幅広い経験を積める
一般的に、保育園は「子どもの生活や情緒面」といった保育の観点から、幼稚園は「スキルや生活指導の側面」といった教育の観点から指導を行います。幼保一体型の認定こども園では、保育士であっても教育に関する知識や経験が求められるでしょう。

また、家庭環境が異なる子どもや保護者とのかかわりから学ぶことも多く、幅広い経験と知識を持つことができる点も魅力です。主任保育士や園長を目指す方には、絶好の学びの場となるでしょう。

行事やイベントが豊富である

こども園の行事
認定こども園では、発表会や運動会などの行事やイベントに力を入れる傾向があります。行事やイベントの経験は、子どもたちの思い出や学びにもつながるでしょう。子どもたちへの適切な保育と行事やイベントに打ち込める環境が揃う点が、認定こども園の魅力の1つといえるでしょう。

認定こども園での勤務経験が転職時の強みになる

認定こども園での勤務経験
保育需要が依然として高い状況が続くことが予測され、幼保一体型の認定こども園は今後も増えていくことが見込まれます。そのため、認定こども園で勤務していた経験があれば、将来的に転職を考えるときにも選択の幅が広がるでしょう。

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保育士が認定こども園で働くデメリット

多くのメリットがある、認定こども園での勤務。しかしその一方で、デメリットについても把握しておく必要があります。認定こども園で働くことのデメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。

給料などの待遇は保育園と大差はない

認定こども園の給料
幼稚園教諭と保育士免許の2つを持つ必要があるということで、給料に上乗せされる手当に期待する方も多いかもしれません。しかし残念ながら、特別な手当を設けている園は少なく、保育園や幼稚園で働くのと待遇面での差はないというのが現状です。

負担が増える可能性がある

保育士への負担増
行事やイベントに力を入れるこども園では、その準備などで負担が増えることも考えられます。その分だけ肉体的・精神的な負担が増す可能性についても、踏まえておく必要がありそうです。

さまざまな立場の保護者とのかかわりがある

さまざまな立場の保護者
保護者が働いているかどうかにかかわらず施設を利用できることは、認定こども園の良い点です。保育園に子どもを通わせる保護者は仕事をしている方がほとんどですが、認定こども園ではそうとは限らないため専業主婦の保護者も存在しています。
保育園の常識のみで保護者に対応し、思ってもみないトラブルに発展してしまった事例も実際にあるようです。今まで以上に、柔軟な保護者対応が求められることになるでしょう。
ただし、多様な保護者とかかわることで、子育てにもさまざまな価値観があることが学べますから、保育者としての幅を広げるチャンスとして捉えることもできますね。

法律や制度が不安定

こども園をめぐる法律や制度
認定こども園は、保育園や幼稚園と比較してまだまだ歴史の浅い施設です。「こども園としてどうあるべきか」ということについては、現場で手探りの状況が続いている部分もあります。また、社会状況の変化に合わせた法律や制度の変更も多く、その対応にも追われがちになります。

「これからの制度」を実現する達成感も大きい点はメリットとなり得ますが、日々の業務の煩雑さに追われる可能性も頭に入れておきましょう。

認定こども園の良い求人を探すコツ

認定こども園への転職を考える際には、先述のメリットとデメリットをよく考慮してから踏み出すことが大切です。
幼児教育の新しい形であるこども園は、「自分たちで作り上げていく」というやりがいを感じられる職場であるといえます。しかしその反面、仕事量が増え負担が大きくなるという側面も持ち合わせているともいえるでしょう。

また、新規で開園したこども園もありますが、保育園や幼稚園からこども園になった園も多く、職員全員が手探りの状態で働いていることも考えられます。保育や教育に対する、それぞれの職員の考え方の違いに戸惑うこともあるでしょう。

もし認定こども園に転職したいと考えるなら、求人票に書かれた情報だけでは判断せず、応募先の園には必ず見学に行くことをおすすめします。複数の園を見学する時間的余裕がない場合は、人材紹介会社のコンサルタントに希望条件を詳しく伝えて自分に合ったこども園をピックアップしてもらい、その中でピンときた園の見学に行くなど、ある程度絞り込んでから見学へ行くと効率的です。
こども園の中で働いている保育士や通園する子どもの雰囲気などを実際に見て確かめ、納得してから応募しましょう。実際に働き出して「思っていた様子と違う」と違和感を覚える事態を少なくできます。

まとめ

今回は、比較的新しい保育・教育の施設である「認定こども園」について、詳しくご紹介しました。

認定こども園は、保育士の新しい活躍の場ともいえる職場です。さまざまな業務負担が増える可能性もありますが、保育園で働いているときとはまた違う経験を積むことができるといったメリットも数多くあります。
「これまでと違う環境で仕事をしてみたい」「新たな形で子どもとかかわりたい」など保育士としてもスキルアップを望む人なら、よりやりがいを感じられるはず。自分に合った園を見つけて、新たなキャリアへの1歩を踏み出してみませんか?

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タグ : 認定こども園
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kiralike編集部

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