看護師の人員配置基準、常勤換算、7対1、13対1看護とは?知っておきたいポイントを解説!

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勤務する病院を探す際に、「一般病棟(7対1)」や「一般病棟(10対1)」、「一般病棟(13対1)」といった言葉を見たことはありませんか?この数字は看護師と患者の割合を示すもので、7対1の場合は患者7名に対し看護師1名が必要という意味になります。今回のコラムでは、人員配置基準や常勤換算、7対1看護体制について説明していきます。

7対1制度とは?

患者7人に対して1人の看護師を配置しなければならないという配置基準で、2006年の診療報酬改定の中で定められたものです。10対1(患者10人:看護師1人)などの配置よりも1人の看護師あたりの業務量が軽減される上、患者さんとしても質の高い医療が受けられるメリットがあるといわれています。

看護師の人員配置準とは?

同僚と話をする介護職員

医療の質を保つため、施設の規模や内容に応じて定められた基準です。2006年度の診療報酬改定によって、入院基本料の目安となる看護師の配置基準の変更が行われるとともに、入院基本料が創設されました。

ここで知っておきたいのは、人員配置基準はあくまでも「標準」であり、「最低基準」ではないということです。厚生労働省は、「人員配置標準を満たさない場合であっても、患者の傷病の程度、医療従事者間の連携等により、望ましい一定の医療水準を確保することが十分可能な場合もある」(※1)としています。配置基準を下回っていても、医療サービスが十分であれば、必ずしも指導の対象とはならないようです。

一方で、必要な人員確保がされていないと判断された病院や施設には、道府県による改善指導が入るようです。

看護師の人員配置基準の歴史

現在の病院では医師や看護師による「完全看護」が主流ですが、1950年代までは家族や付き添いの人による看護が日常的に行われていました。そんな中、1958年に「基準看護制度」が設立され、病院での完全看護が看護師の業務となりました(※2)。この「基準看護制度」で4対1の看護基準が設けられたほか、その後の診療報酬の評価制度開始から3対1、2対1といった他の方式も作られていきました。

現在の配置基準は、1994年創設の「新看護体系」をもとに、実際に現場で働く看護師の数で労働力を換算する「実質配置」が取り入れられていったとのことです。

一定水準以上の医療サービス提供のため、何度も改正が行われている基準のようです。

看護師の常勤換算について

7対1、10対1といった配置基準以外にも「常勤換算」というものがあります。労働力を実際の人数で数えるのではなく、勤務時間で数えるのが常勤換算です。

正社員とパートでは労働時間が異なるため、同じ1人の労働力として計算することはできませんね。様々な働き方の方がいる中で労働力を数値化するために「常勤換算」という考え方があります。

例えば、必要な看護師の数が常勤換算で5名の病院があるとします。常勤看護師は週5日×8時間勤務で、通常週40時間の勤務時間となります。週40時間働く人を1名とすると、週4日、5時間勤務、週20時間で働くパートの場合、常勤換算での人数は0.5名と計算できます。

必要な人員を労働時間に換算すると常勤5人×40時間=200時間になります。常勤看護師が3名配置されていると仮定すると足りない労働力は80時間です。パート看護師を週5日、4時間勤務で雇用し、残り80時間を補填する場合、必要となるのは4名です。

上記は計算しやすくするためにパートの勤務時間を一律にしていますが、勤務時間が人によって異なる場合や、短くなる場合は必要な人員数が変動します。また、産休や育休により、所属はしているものの実際の勤務はしていない従業員は常勤換算には含められません。

看護師の人員配置基準と入院基本料について

人員配置基準は診療報酬制度の評価基準にも影響があり、手厚い配置であれば報酬が加算され、標準以下であれば減算される制度となっています。7対1や10対1といった数字は、患者と看護師の割合であることは本コラムはじめにご説明しました。
看護師一人当たりが対応する患者数が少なくなるため、7対1看護の方が10対1、13対1よりも診療報酬が高くなり、患者が支払う入院基本料も高くなります。そのため、患者が従来よりも高い水準の看護が受けられるだけでなく、病院の収入も上がるため双方にメリットのあるものといえそうです。2019年時点で、7対1看護体制相当の入院料にあたる「入院料1」を届け出ている急性期一般病棟は2,094件中859件と、全体の40%程となっています(※3)。

診療報酬の高さから、病院としては7対1体制を目指した方が良いのでは、と思った方もいるかもしれません。確かにその通りですが、7対1体制をとるためには多くの条件を満たさなければなりません。手術をはじめとする医療行為に対し高い評価を得ることや、設備の充実等が条件となっており(※4)、これらを満たせる病院は限られています。7対1を名乗ることは病院側にとって容易ではないことが分かります。

また、看護師の視点からいえば、上記の条件をクリアできている病院での勤務=医療設備・技術を持つ施設での経験が得られるというメリットがあります。高いレベルの病院で働きたいという希望のある看護師の中には、7対1体制の病院かどうかを重視している方もいるようです。

7対1看護体制以外の配置基準について

手厚い医療サービス提供の基準として7対1看護体制をご紹介しましたが、急性期の重症患者が多く忙しい側面もあり、「転職先として必ずしも7対1看護が最適」というわけではありません。他の配置基準の特徴や、働き方ポイントをご紹介します。

10対1

7対1体制と同様、急性期の患者を対応していますが、患者の医療・看護必要度は7対1よりも低いことが特徴です。入退院の頻度も7対1より少ない傾向にあるため、忙しさの視点でも比較的落ち着いている場合が多いようです。7対1ほどの忙しさでは働けないものの、充実した医療環境で看護師業務を頑張りつつ、家庭や自分の時間も大切にしたい方に向いているといえるでしょう。

13対1

急性期対応はせず、看護必要度の低い患者のケアをする病院は13対1(または15対1)の看護基準をとっています。ケアミックス病院や回復期リハビリテーション病棟など、退院~復帰を目指す方のサポートを行う施設での勤務が多いようです。救急度の高い医療よりも、患者の復帰を支援したい方は13対1を検討してみてはいかがでしょうか。

まとめ

今回のコラムでは人員配置基準や7対1看護、常勤換算についてご説明しました。就職先について調べるにあたり、「自分が何人の患者を担当するのか」は、働き方や生活に関わる大切な条件ではないでしょうか。自分にとって働きやすい職場を見つけるために、配置基準も求人を見るポイントとして頂けますと幸いです。

キララサポートでは、7対1、10対1、13対1など、様々な配置基準の求人を取り扱っています。看護業界に特化したコンサルタントが、皆さまに合った職場をご提案致しますので、お仕事探しをされている方は是非お問い合わせください。

 

※1:厚生労働省「医療法に基づく人員配置標準について」
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/12/dl/s1202-8a.pdf
※2:日本看護協会「看護に関わる主要な用語の解説」
https://www.nurse.or.jp/home/publication/pdf/guideline/yougokaisetu.pdf
※3:日本看護協会 調査研究報告
※4:厚生労働省「7対1入院基本料について」
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/10/dl/s1003-5c.pdf
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/03/dl/s0323-9b.pdf

 

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