急性期・回復期・慢性期の違いとは?それぞれの働き方とやりがい

公開日: 更新日: 看護 , 看護師の働き方・環境

看護の病棟では患者の病状別に「急性期」「回復期」「慢性期」で種類分けがされているのをご存じですか?若手看護師の方や看護学生の方の中には、「急性期病棟で経験を積んでステップアップしたい」と思いつつ、なんとなくのイメージしか掴めていない方もいらっしゃるかもしれません。今回のコラムでは、各ステージの比較とともに、それぞれの病棟で働く看護師の役割ややりがいについてご紹介します。

急性期・回復期・慢性期の違い

まずは各ステージの状態を簡単に解説します。

急性期:症状が現れる時期・容態が安定しない時期を指す
回復期:急性期を乗り越え、容態が安定した時期、およびリハビリなどで治療し回復を目指す時期を指す
慢性期:病状が比較的安定しており、再発予防や体力回復の時期を指す

急性期が最も状況が変化しやすく、回復期から慢性期にかけ患者の状態が安定しているといえます。

病気の発症時に対応する「急性期」とは

急性期とは、病気になり始めた頃で、症状が現れる段階を指します。症状によっては検査や処置、手術が必要になります。

急性期の看護

命の危機に直面している患者や、手術が必要な患者を対象に、治療から症状が安定してくるまでの看護を行います。急性期病棟では病期としての急性期ではなくとも重症度の高い患者が看護対象となる場合があります。病院にもよりますが、一般的に急性期病棟とは、高度急性期と急性期の7対1入院基本料を届け出ている病棟を指すことが多いようです。

勤務する病院を探す際に、「一般病棟(7対1)」や「一般病棟(10対1)」、「一般病棟(13対1)」といった言葉を見たことはありませんか?この数字は看護師と患者の割合を示すもので、7対1の場合は患者7名に対し看護師1名が必要という意味になります。今回のコラムで...

急性期病棟の看護師の役割

急性期病棟では、命に関わる状況や、治療しなければ生命維持に支障をきたす患者をメインに対応します。そのため、患者の状態把握から判断までのスピード感が重要といえます。回復期、慢性期よりも療養上のケアを行う割合は少なく、どちらかといえば検査や処置などの補助、人工呼吸器の管理など診療の補助を行うことが多いようです。

急性期病棟の看護師のやりがい

急性期病棟の看護師の方のお話を伺うと、命の危機に直面していた患者が徐々に元気になり、退院していくまでを見届ける度に喜びを感じているという声が多く聞かれます。
命に関わる業務が多く、常に緊張感の中で働いている急性期病棟の看護師ですが、患者の回復の様子が目に見えてわかることが大きなやりがいとなっているようです。

急性期の施設や勤務形態

急性期病棟が勤務先となります。基本的に夜勤があり、二交代または三交代勤務の職場が多いようです。

急性期病棟はどんな人が向いている?

・てきぱき動くことが好きな方
・精神的、体力的にタフな方
・気持ちの切り替えがうまくできる
・高度なスキルを身に付けることに興味がある

急性期病棟の患者さんは元気に退院していく方ばかりではなく、後遺症が残る方や亡くなる方もいます。様々な患者さんの最期に寄り添いつつ、気持ちをうまく切り替えて働くことができる方の方が向いていると言えそうです。

リハビリで治癒を目指す「回復期」とは

急性期治療を受け、病状が安定しはじめた発症・術後1~2か月後の状態を回復期といいます。

回復期の看護

在宅復帰、職場復帰を目指すことが回復期病棟の主な目的です。障害が残った場合も、できる限りの改善ができるようケアおよびサポートをします。退院後の生活を見据え、ADL(日常生活動作)の集中的なリハビリを行うステージの患者が看護対象です。

回復期病棟の看護師の役割

メモを取る女性看護師バイタルチェックを行い、現在の患者の疾病、障害の状態や今後の経過について医師やセラピストと情報共有します。また、一般的に患者のスケジュール管理は看護師が行うことが多く、他の職種と患者の間に立つ調整役を担っています。
その他、患者のストレスケア、社会復帰のためのサポートなど、病気によって不安を抱えている患者に精神的に寄り添うことも重要な役割といえます。

回復期病棟の看護師のやりがい

患者が退院する際はもちろん、退院後に無事日常生活を取り戻せたと分かった際にやりがいを感じる方が多いようです。元気になった患者や患者の家族から感謝の言葉をもらえることもあり、日々のモチベーションに繋がっているようです。

回復期の施設や勤務形態

リハビリ機能のある「回復期リハビリテーション病棟」にて勤務します。基本的に夜勤のあるシフト制で、二交代または三交代制をとっている職場が多いようです。

回復期病棟はどんな人が向いている?

・しっかり患者さんと向き合いたい方
・仕事とプライベートを両立させたい方
・チームワークを大切にしたい方
・元気に退院する患者さんを見てやりがいを感じる方

回復期は患者さんと向き合う時間が長く、病気やケガに悩む患者さんに寄り添える方が向いているといえます。また、リハビリ担当の職種とも連携することになるため、看護職以外の職員とチームワークを大切にして働ける方にもおすすめです。

長期治療が必要な「慢性期」とは

慢性期とは、病状が比較的安定している時期を指します。病気の再発予防や体力の維持を目指し、長期にわたる治療を続ける場合が多いようです。

慢性期の看護

慢性期の看護施設の患者の半数は脳卒中疾患を持つ方で、24時間体制の管理に加え看取りやターミナルケアも業務の一部となるところが多いようです。また、糖尿病、慢性腎不全、といった生活習慣病が原因で入退院を繰り返す患者や慢性呼吸器疾患、がんなどの患者も看護対象となります。

慢性期病棟の看護師の役割

残りの人生を病気と共に生きていくこととなった患者のケアを行うのが慢性期病棟の看護師です。看護実践の際に求められることは合併症の予防の他、口腔環境・排泄状況・皮膚の状態など全身を丁寧に見て疾患が悪化した際に早期発見できるよう日々チェックし、小さな変化も見逃さないことです。

慢性期病棟の看護のやりがい

24時間患者のそばにいるため、小さなバイタルサインの改善や残存能力に気づくことができます。気づいた点を患者の家族や看護職員・医師に伝え、最期までより良い生き方をしてもらうためにどうすべきか周囲と一緒に考えられる点をやりがいに感じる方が多いようです。

慢性期の入院施設

医療措置が必要な療養型病院(医療療養)での勤務がほとんどです。他にも要介護認定を受けた方が入院する療養型病院(介護療養)がありますが、高齢化が進んでいることと看護師不足の背景から介護療養は廃止が決定し、施設の数は減少傾向にあります。

急性期病棟での治療を経て喀痰吸引などの医療措置を日常的かつ継続的に必要な患者が慢性期病棟の入院対象となります。

常に患者の様子を見ている必要があり、基本的には夜勤あり・二交代または三交代での勤務となります。

慢性期病棟はどんな人が向いている?

・患者さんだけでなくご家族のケアもできる方
・小さな変化にも気づくことができる方
・ルーティン業務が得意な方
・ワークライフバランスをとって働きたい方

慢性期病棟は患者さんとじっくり関わりながら、小さな変化も見逃さないことが求められます。また、完治が難しい患者さんを多く担当するため、ご家族の心のケアを行うことも看護師の役割となります。患者さんとご家族の両方に寄り添える方が向いている傾向にあります。

まとめ

急性期、回復期、慢性期の違いについて解説しました。各病棟で看護師の役割ややりがいは異なり、ご自身の実践したい看護が実現できる分野を選択することが大切です。今とは異なる段階の看護に挑戦したい方や、同じステージでも待遇を改善していきたい方は、転職で希望を叶えることを検討してみてはいかがでしょうか。

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タグ : 病院
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kiralike編集部

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