保育園でできるお正月遊びとは?福笑い・凧あげなどの遊び9選
公開日: 保育の仕事![]()
近頃は、おうちでお正月遊びをしたことがないという子どもが増えています。ずいぶん前から、家庭では伝統的なお正月遊びをしなくなり、子どもにとって「身近な遊び」とはいえない状況です。
そこで今回は、福笑いや凧あげなどのさまざまなお正月遊びと、保育への取り入れ方をご紹介します。保育士さんも子どもたちと一緒にお正月遊びを楽しんで、保育園でも「初笑い」をしましょう。
目次
「お正月」や「お正月遊び」の意味を改めておさらい
お正月とは
お正月とは、新たな1年のスタートをお祝いする伝統行事のことです。年の初めに「年神様」が訪ねてくるので、お迎えするために門松や鏡餅などを飾り、お節料理をお供えします。年神様は「豊作の神様」でもあり、家を守る「ご先祖様」ともいわれています。
お正月遊びとは
お正月遊びには「福を呼ぶ」「災いをはらう」などの意味が込められています。
昔は、三が日(1月1日~3日)におじいちゃん・おばあちゃんの家に兄弟姉妹や孫がたくさん集まったので、お正月遊びの時間は「子どもたちの楽しみ」でもありました。たまにしか会えない「親戚のお兄さん・お姉さん」から、遊びのルールやコツを教わることで、子どもは大きく成長します。そして今度は、自分より年下の「親戚の子ども」に教えるようになり、そうして「お正月遊び」は伝承されてきました。
しかし、近年は核家族化が進み年始に親戚一同が集まることも少なくなったため、大勢でお正月遊びを楽しむ機会が減っているといわれています。このような背景から、保育園でお正月遊びを行う重要性が増してきているのです。
お正月遊びはいつする?
家庭でのお正月では、家族や親戚が集まって新年のお祝いをします。元旦(1月1日の朝)に、新年の挨拶を交わしたら、お節料理・お雑煮・お屠蘇をいただき、初詣に出掛けます。その後に、みんなでお正月遊びを楽しみます。
保育園では、年末年始のお休み明けに行う場合が多いですね。室内で行う遊びも多いので、1月の天気が悪い日の室内遊びとして楽しむのもおすすめです。
お正月遊びのねらい
保育園でのお正月遊びには、「日本の伝統文化や季節の行事に関心を持つ」「新年の雰囲気を感じる」などのねらいがあります。
さらに、体を動かす心地よさを味わえ、集中力や工夫する力を育てるきっかけにもなります。また、お正月遊びを通してルールを理解し、友だちと順番を守って遊ぶ経験は、社会性や協調性の育ちにもつながります。季節の風習に親しむ経験を通して、多方面の育ちが促されることも、お正月遊びを取り入れるねらいの1つです。
次は、代表的な「お正月遊び」と、保育への取り入れ方をご紹介しますね。
【保育園でやりたいお正月遊び①】福笑い

福笑いの遊び方
福笑いの遊び方は、まず「目・鼻・口のない顔」を描いた紙に、目隠しをして「顔のパーツ」を1つずつ並べていきます。終わったら目隠しを取って、どんな顔になったか確認します。
一番面白い顔を作ってみんなを笑わせた人の勝ち、正しい位置に顔のパーツを置くことができた人の勝ちなど、さまざまなルールで遊ぶことができます。できあがった顔を見てみんなで笑うことで「福を呼ぶ」というお正月らしい意味があります。
福笑いの対象年齢
福笑いは、発達に合わせて遊び方を調整しやすい遊びです。そのため、0~5歳児まで幅広い年齢で楽しめます。
福笑いで遊ぶ際のポイント
福笑いといえば「おかめ(お多福)」の顔がスタンダードです。おかめの福笑いを見たことのない子どもが多いので、まずは伝統的な福笑いで遊んでみましょう。自分だけの「オリジナル福笑い」製作もおすすめです。オリジナルの福笑いが完成した後は、友だちと一緒にお互いの福笑いで遊びます。
【保育園でやりたいお正月遊び②】凧あげ

凧あげの遊び方
凧は、平安時代に「占いや戦いに使うもの」として中国から伝わりました。現代のように、屋外で凧をあげて遊ぶようになったのは、江戸時代になってからです。
保育園では、風のある日に凧のひもを持って走り、風を受けて凧が上がる様子を楽しむといった遊び方がおすすめです。空に高くあがる凧には、子どもの健やかな成長への願いが込められています。
凧あげの対象年齢
凧あげは少し難しいため、身体機能が発達している3~5歳児(幼児クラス)の子どもたちに適した遊びです。
凧あげで遊ぶ際のポイント
本格的な形の凧作りも凧あげも保育園児には少し難しいので、小さな子どもでもできる簡単な凧で代用することをおすすめします。
まず、レジ袋にマーカーで模様を自由に描きます。袋の持ち手にひもを付けて引っ張ると、レジ袋に空気が入ってふわりと浮かびます。ひもを長くして走れば「レジ袋凧」は高くあがりますよ。
また、複数人が近くで凧あげをすると、絡まったりぶつかったりするため、間隔をあけてやることをおすすめします。
【保育園でやりたいお正月遊び③】羽根つき

羽根つきの遊び方
羽根つきは、お正月をイメージする代表的な伝承遊びで、羽根をつくことが邪気をはらう」といわれています。
遊び方は、羽子板を使い、羽根をバドミントンのように打ち合います。最初は1人で羽根を落とさずにつく練習から始めたり、軽く投げてもらった羽根を打ち返したりすると良いでしょう。
羽根を落としてしまったときは、罰として「顔に墨でバツ印を描かれる」という遊び方もあります。
羽根つきの対象年齢
羽根つきは羽子板を扱う動作が必要なため、身体機能が発達してくる3~5歳児クラスで楽しめる遊びです。
羽根つきで遊ぶ際のポイント
凧あげと同じく、園児が実際に羽根つきをするのは難しいですが、「羽子板作り」にはチャレンジできます。ダンボールを土台にして、子どもに合ったサイズで作ると、軽くて扱いやすくなります。平面的に絵を描くよりも、立体的な飾りを貼りつけた方が、本物の羽子板に近くなります。
【保育園でやりたいお正月遊び④】こま(独楽)

こまの遊び方
こま(独楽)は、中国から伝わり、江戸時代に庶民の遊びとして広まりました。こまがうまく回ると「スムーズに事が運ぶ」とされ、縁起の良いお正月遊びとして親しまれています。
こま遊びは指先でひねって回すタイプや、ひもを巻いて引っ張るタイプなどがあり、子どもでも扱いやすいこまを選ぶと遊びやすくなります。
こまの対象年齢
指で回す「ひねりごま」であれば、3歳から楽しむことができます。ひもを使って回す「投げごま」は4歳以上から楽しめます。
こまで遊ぶ際のポイント
こまをベースにした現代風のおもちゃもあることなどから、現代の子どもたちにとってもこまは「なじみのあるおもちゃ」です。お正月遊びとして保育に導入するなら、園や家庭にはない「昔ながらのこま」を知る機会にしたいですね。ひもを使って回す、レトロな見た目の木製のこまなどを探し、回す様子を見せてあげてください。
【保育園でやりたいお正月遊び⑤】かるた

かるたの遊び方
かるたは、ポルトガルから伝わったカードゲームに、日本の「貝合わせ」の要素が盛り込まれたものです。「いろはがるた」や「百人一首」が、一般にはよく知られています。
かるたの遊び方は、読み札を聞いて対応する絵札を見つけて取るだけなので、小さな子でも参加しやすいのが特徴です。
かるたの対象年齢
かるたは、言葉の理解が進み、友だちと遊ぶようになる「3~5歳児クラス」で楽しめる遊びです。年齢が上がるとルールの理解や取り札のスピード感も増し、クラスで盛り上がるでしょう。
かるたで遊ぶ際のポイント
保育園でかるたをするなら、ひらがなを読める子が多くなる年少以上のクラスで行うのがおすすめです。5名~10名程度のグループに分けて、車座になって行います。
年少クラスであれば、子どもたちが親しみやすいキャラクターのかるたが良いでしょう。年長クラスであれば、ことわざなどを使った昔ながらのかるたを使うと勉強にもなりますね。
【保育園でやりたいお正月遊び⑥】すごろく(双六)

すごろくの遊び方
すごろくは、サイコロを振って出た目の数だけ進むボードゲームです。奈良時代に日本に伝わり、江戸時代には子ども向けのすごろくが広まりました。
遊び方はシンプルで、順番にサイコロを振り、スタートからゴールを目指してマスを進めていきます。
すごろくの対象年齢
すごろくは、ルールを理解したり順番を待ったりする力が育ってくる3~5歳児クラスで楽しめる遊びです。
すごろくで遊ぶ際のポイント
共同制作で「ジャンボすごろく」に挑戦してみるのもおすすめです。子ども同士で話し合いながら「すごろく作り」を進めていけば、それが達成感になりますね。卒園制作として「思い出すごろく」を作って、展示するのも良いでしょう。
お正月に合わせて、家庭にある「すごろく」を持ってきてもらうのも良いのではないでしょうか。さまざまなタイプのすごろくを、友だちや先生と一緒に楽しめることが、子どもにとって大きな喜びになります。
【保育園でやりたいお正月遊び⑦】だるま落とし

だるま落としの遊び方
だるま(達磨)とは、禅宗の開祖・達磨大師がモデルの「縁起物の人形」のことです。だるまをアレンジしたおもちゃが「だるま落とし」で、円柱状の胴体が複数重なり、一番上にだるまと同じ顔が乗っています。
だるま落としの遊び方は、円柱を1つずつハンマーで横に叩き出し、だるまを1段ずつ落としていきます。最後まで崩さずに落とすことができれば、その年の災いを避けることができるといわれています。
だるま落としの対象年齢
だるま落としは、手先の力やコントロールが必要なため、3~5歳児クラスで遊びやすい伝統遊びです。
だるま落としで遊ぶ際のポイント
木製の「だるま落とし」は100円ショップでも購入できるので、人数分を準備することも可能です。顔のシールを取って、子どもがだるまの顔を描けば、世界に1つしかない自分だけの「だるま落とし」で遊ぶことができますよ。
【保育園でやりたいお正月遊び⑧】お手玉

お手玉の遊び方
お手玉は、日本の伝統的な遊びの1つです。遊び方は、小さな布袋の中にあずきを詰めたものを手のひらで軽く投げたりキャッチしたりします。慣れてきたら、両手で左右に投げ替えたり、リズムに合わせて動かしたりと、少しずつ難易度を上げることができます。布の感触や中に入った豆やビーズの重さを感じながら遊べるため、手指の感覚を育てるのにもぴったりです。
お手玉の対象年齢
お手玉は、握る・落とすなどの簡単な動作なら0歳児クラスでも楽しめます。最初は1つのお手玉でゆっくり動きを覚えられるよう、無理のない遊び方を提案していくことが大切です。
お手玉で遊ぶ際のポイント
お手玉は中身がこぼれやすいため、破れがないか事前チェックが必須です。誤飲の危険性がある年齢では、特に注意しましょう。
また、無理に投げると落としてしまいがちなので、最初はゆっくりした動きで「投げる」「つかむ」を繰り返せるように支援します。成功体験を積み重ねられるよう、子どものペースに合わせて遊び方を調整すると、安心して楽しめます。
【保育園でやりたいお正月遊び⑨】てまり

てまりの遊び方
てまりは、手で上下に弾ませたり、地面でついたりする昔ながらの遊びで、リズム遊びとしても楽しめます。
まずはボールのようにゆっくり弾ませるところから始め、慣れてきたらわらべ歌に合わせてテンポよく楽しむこともできます。弾ませる・つく・転がすなど、てまりの動きを楽しみながら、全身を使って遊べるところが魅力です。
てまりの対象年齢
てまりは転がすだけの遊びから始めるなど、段階に応じて取り入れることができるため、全年齢(0~5歳児)で楽しむことができます。
てまりで遊ぶ際のポイント
0歳児クラスは、歩行が安定しない子もいるため、転がしてキャッチボールを楽しむのも良いでしょう。
また、てまりで遊ぶ際は、周囲にぶつかりやすいものがないかを確認し、安全なスペースで行うことが大切です。てまりの大きさや弾み方の特性を子どもに伝えながら、無理のないペースで楽しめるようにしましょう。
保育園でのお正月遊びは「子どもの心」に残る
お正月遊びで最も大切なことは、子どもも大人も一緒になって楽しみ、新年を笑って迎えることです。友だちや保育士、家族や親戚と笑い合うことが、新しい年の「幸せ」につながります。
保育にお正月遊びを取り入れることは、子どもたちの心に「伝承遊び」の記憶を残します。いつか、誰かと、お正月遊びをする機会があったら、保育園で遊んだ楽しい時間を懐かしく思い出すかもしれません。
保育園のお正月遊びについてのまとめ
今回は、保育に取り入れたいお正月遊びを9つご紹介しました。
福笑いや凧あげなどのお正月遊びは家庭で楽しむ機会が減っているため、積極的に保育に取り入れたいところです。子どもの年齢に合わせ、遊びのルールや製作の仕方を変えるなどして、無理なく安全に楽しめるよう配慮して取り入れましょう。
お正月遊びのポイントは「みんなで楽しむ」ということ。保育園で経験した伝承遊びを、自宅でも楽しんでもらいたいという「園のねらい」も含まれています。保育士さんも子どもと一緒に思いきり遊んで、大きな声でたくさん笑いましょう!
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