保育士がパワハラを受けたらどうするべき?保育園のパワハラについて【体験談・実例つき】

公開日: 更新日: 保育士の働き方・環境

保育士がパワハラを受けたらどうするべき?【体験談・実例つき】今の職場を辞めたいと考えている保育士さんの中には、「園長・主任のパワハラ」という深刻な悩みを抱えている方もいます。保育園ではどんなパワハラが起こっているのか、もしパワハラがあったらどうすれば良いのか、保育士さんがひとりで苦しむことがないよう「パワハラへの対策」についてお伝えします。

そもそも「パワハラ」とは何か

パワハラとは「パワーハラスメント」の略で、この場合のパワーとは「権力」を表し、ハラスメントは「いじめ・嫌がらせ」を意味します。よって「パワハラ」とは、権力を持つ者が自分の立場を利用して、いじめや嫌がらせをすることです。

「パワーハラスメント」という言葉が生まれたのは2001年で、日本のコンサルタント会社の社長が考えました。権力がある者の「いじめ・嫌がらせ」は昔からありましたが、「パワーハラスメント」という言葉が新しくできたことによって、社会問題として注目されるようになりました。

「職場のパワハラ」とは?

パワハラのうち、会社の上司によるものを「職場のパワハラ」といいます。厚生労働省「ハラスメント対策の総合情報サイト」では、下記の行為が「職場のパワハラ」に該当する可能性があるとしています。

  1. 暴力など「身体的攻撃」
  2. 暴言・脅迫・執拗な叱責など「精神的攻撃」
  3. 仲間外れなど「人間関係からの切り離し」
  4. 仕事の押しつけなど「過大な要求」
  5. 本来の仕事をさせない「過小な要求」
  6. プライバシーへの介入など「個の侵害」

保育園の「パワハラ」とは?

保育園の園長によるパワハラ保育園でパワハラをするのは、主に「園長・副園長・主任」です。特に、園長の人格や考え方に問題があるとパワハラが改善するのは難しく、職員の多くがストレスを抱えます。現場の保育士が実際に受けているパワハラの一例を挙げてみました。

  • 繰り返し責め立てて退職に追い込む
  • 育休を取れない
  • 体調が悪くても休ませてもらえない
  • 主任の仕事を押しつける
  • 子どもや同僚の前で厳しく叱られる

園長・主任の叱責は「パワハラ」か「指導」か

パワハラをしている園長や主任が「保育士への指導だ」と主張することもあり、自分の行為が「悪い」という自覚がないことに、問題の根深さがあります。

下記では、「叱責」を例にして、パワハラか指導かを判断する基準をお伝えします。

(パワハラ)園児・保護者・同僚の前で厳しく叱りつける

(指導)子どもや同僚に見られない場所で注意する

 

(パワハラ)怒鳴る、ヒステリック、まくしたてる、しつこい

(指導)落ちついて冷静な口調で諭す、注意するのは一度だけ

 

(パワハラ)理不尽に理由もなく怒られる、身に覚えがないことで叱られる

(指導)自分の何が悪かったか理解できる

パワハラをする園長や主任は、特に理由がなくても怒ることが多く、保育士の人格や容姿を否定して、一方的に責め立てるのが特徴です。

上記にあてはまると感じた方は、転職を検討してもいいかもしれません。
同じ経験をしないためにも、各職場の雰囲気や教育体制について知り尽くした転職のプロにご相談ください!

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国内の保育園で起きたパワハラ事件の実例

2019年12月、静岡県浜松市の認可保育園で、18名の職員が一斉に退職届を出したという衝撃的な事件がありました。職員たちは、園長夫妻によって下記のようなパワハラが日常的に行われていたことを理由に、12月いっぱいで退職することを保護者に通知しました。

  • 子どもや保護者の前で罵倒する
  • 失敗をしただけで「障害がある」と決めつける
  • 妊娠している保育士が休むと批判する
  • 暴言が非常に多い
  • ブログ映えのする保育をしろと強要された
  • 専務(園長の夫)によるセクハラがあった
  • 改善を求めると嫌がらせがひどくなった

園長夫妻は保育園から退くことになり、別の会社が経営することになりました。18名の職員は退職を撤回することはありませんでしたが、一部の保育士は年度末まで勤務を続けることになりました。

パワハラに苦しんだ保育士の体験談

パワハラ体験談を話す女性上司に苦しめられて退職した保育士は、どんなパワハラを受けたのでしょうか。退職した保育士さんの実例をご紹介します。

体験談①「すぐ怒鳴る園長に毎日怯えています」

うちの園長(男性50代)はとにかくカッとなりやすく、子どもの前でも関係なく怒鳴ります。なぜ怒っているか意味が分からず、筋の通らない自分本位な理由も多いので、私たち保育士はただ怯えるばかりです。いつ怒鳴られるか予想もつかないので、いつも緊張していました。

体験談②「えこひいきをする主任からの風当たりが強い」

私が勤めている保育園の主任(女性40代)は、お気に入りの保育士には優しく声掛けをしてかわいがっているのですが、私や一部の保育士に対しては過剰に厳しく、えこひいきがひどいんです。仕事の質問をしても「今忙しいから話し掛けてこないで!」「そんなことも分からないの?」などと厳しい口調で言われ、確認をせずに進めると「やり方が違う!なぜ事前に確認しなかったの?」と言われるので困っています。

体験談③「園長が鼓笛隊に熱心すぎてウンザリ」

園長(男性50代)が、突然「鼓笛隊をやりたい」と言い出しました。子どもたちのためというより、保育園のイメージアップが狙いだと感じました。それ以来、園長は過剰なまでに鼓笛隊に熱を入れ、保育士へは「もっとレベルを上げろ」とうるさく言います。保育の質より「鼓笛隊が最優先」という考え方にはついていけません。

パワハラ保育園で働くと悪影響が出てくる

夜道を歩く女性園長・主任によるパワハラがある保育園では、次のように保育士の「仕事・健康・キャリア」にも大きな影響を及ぼします。

面倒な仕事を押しつけられて残業が増える

トラブルの対応や雑用など、本来は保育士がやる仕事ではないことを、園長・主任から押しつけられることがあります。ただでさえ忙しい保育士さんは、自分の時間がなくなり、遅くまで残って仕事をする毎日が続きます。

ストレスが増えて体調を崩す

パワハラのある保育園で働いていると「ストレス」がとても多く、うつ病などメンタル面で体調を崩してしまう保育士さんも少なくありません。病気になっても休養することは許されず、どんどん体調が悪化して退職へと追い込まれます。

キャリアアップできない

パワハラ保育園は「家族経営」のケースも多く、保育士が管理職になれる確率はとても低いです。そもそも「保育士を大切にしない園」なので、キャリアアップはもちろん、昇給やボーナスが増えることもほとんど期待できません。

保育士がパワハラを受けた時の対処法

職場でパワハラを受けたら、保育士さんはどんな行動をすればいいのでしょうか。その対処法をお伝えしますね。

パワハラの証拠を残す

ICレコーダーと手帳複数回にわたって園長や主任からパワハラらしき言動や行為を受けている場合は、ボイスレコーダーやスマホなどで録音(録画)をしましょう。録音した音声や動画は、パワハラの証拠になります。保育士さんの訴えを証明できるので、相談を受ける側にとっては判断がしやすくなります。

録音が難しい場合は、日記や手帳に記録をするだけでもかまいません。いつ、誰から、どのようなパワハラを受けたのかを記録しておきましょう。

同僚や上司に相談する

自分以外にもパワハラを受けている上司や同僚がいたら、思いきって相談してみるのも対処法の1つです。苦しみやストレスを共有するだけでも励みになりますね。

ただ、相談する時は相手をよく選ぶことも大切です。自分が心から信頼できる人に相談しましょう。

労基や労働局などの外部機関へ相談する

スマホを見る女性職場のパワハラは外部機関に相談することもできます。下記の機関にはサイトがあるので、相談の前にチェックすることをおすすめします。

  • 総合労働相談コーナー(各都道府県労働局・労働基準監督署)
  • 都道府県労働委員会・個別労働紛争担当窓口
  • みんなの人権110番(全国共通相談ダイヤル)
  • 法テラス

他の保育園へ転職する

改善されることのない園長にどこまで我慢し続けるのか、自分のキャリアについて真剣に考えてみましょう。

パワハラ保育園で働くのはもう嫌だと思っている保育士さんには、職場を変えることをおすすめします。パワハラのない「働きやすい保育園」に転職して、のびのびと保育をしましょう。

パワハラで保育園を転職する時のポイント

パワハラを理由に仕事を辞めた保育士さんは、下記のポイントを意識して転職先を探すようにしたいですね。

【転職活動のポイント】

  • 精神的に疲れている場合は、休養してから転職活動を始める
  • 求人はじっくり検討し、情報を集めて園の実態を見極める
  • 保育士の入れ替わりが激しい保育園には応募しない
  • 紹介予定派遣など段階を経て転職する
  • コンサルタントのいる転職サービスを利用する
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保育士のパワハラに関するまとめ

残念ながら、園長や主任によるパワハラが横行している保育園はまだまだ存在しているのが実情です。現在もいわれのない叱責や休暇取得の妨害などを受けて、精神的に参ってしまっている方もいらっしゃることでしょう。

一方で、パワハラとは無縁の和やかな雰囲気で勤務ができる保育園も数多くあります。

近年は待機児童問題などを背景に「保育士のニーズ」が高まっているので、パワハラで辞めた保育士さんにとって転職がしやすくなっています。求人情報をしっかりリサーチして、自分に合った職場で再出発をしましょう。

また、次の職場でも同じような経験をしないよう、それぞれの職場や管理職のことをしっかり理解しているプロの転職エージェントに相談してみることをおすすめします。

保育士のパワハラに関するよくある質問

Q. パワハラを理由に転職したいのですが、面接では何と説明すべきでしょうか?

職場でのハラスメントを理由に退職することは応募先にネガティブな印象を与える場合があるため、ポジティブな内容に言い換えると良いでしょう。例えば、「保育方針が異なり、何度か話し合いをしたものの理想としていた保育ができないと感じました。大切な子ども達との関わりを重視するため、前職の園ではなく貴園での勤務を強く希望しております。」といった伝え方を検討してみてください。

Q. パワハラのない職場かどうか、転職する際に判断する方法はありますか?

実際に園見学をしてみて、働いている保育士の様子を見てみる、プロの転職エージェントに園長の人柄を聞いてみる等の方法があります。園に足を運んでヒアリングをしているキララサポートのコンサルタントなら、職場の人間関係も把握しており相談相手にぴったりです。

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タグ : 人間関係の悩み 保育士やめたい
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キララサポート編集部

キララサポート編集部

保育士・看護師専門の転職支援サービス「キララサポート」がお役立ち情報を発信中!運営会社である株式会社モード・プランニング・ジャパンは全国で保育施設「雲母保育園」を展開しており、医療と保育現場、そして転職活動のプロフェッショナルとして情報を提供しています。