給料など処遇改善に期待ができる保育士等キャリアアップ研修とは？

公開日：2023.12.11 保育士の福利厚生・待遇 , 保育士の給与・年収

2023年度より研修受講が必須となった保育士等キャリアアップ研修。保育士の専門性向上と処遇改善を目的として導入された研修です。研修を修了することで保育士としてのスキルアップだけでなく、給料アップも期待できます。一方で、保育士等キャリアアップ研修の詳しい内容については分からないという方も多いのではないでしょうか。

この記事では、保育士等キャリアアップ研修についてご紹介します。

1 保育士等キャリアアップ研修とは
2 保育士等キャリアアップ研修の8つの分野
3 保育士等キャリアアップ研修を受講すると給料が上がる？
4 保育士等キャリアアップ研修受講後の新役職の条件
5 保育士等キャリアアップ研修を受けるには
6 給料アップを目指すなら転職する手段もある
7 まとめ

保育士等キャリアアップ研修とは

保育士等キャリアアップ研修とは、保育士の専門性向上と処遇改善を目的として平成29年に導入された研修です。保育士は乳児から小学校入学前の児童の保育を行う仕事として、専門的な知識やスキルを必要とします。研修を通じて保育に関する専門性を習得することで、保育現場で役立つ知識や技術を身につけるだけでなく、各職員のキャリアパスや処遇改善といった近年の保育士業界における課題解決につながるでしょう。

このような背景を見据えて、経験年数や職務分野を踏まえた研修が実施されています。

保育士等キャリアアップ研修の8つの分野

保育士等のキャリアアップ研修は、8つの分野に分かれています。ここでは、それぞれの分野の研修内容をご紹介します。

乳児保育

乳児保育は、主に0歳から3歳未満児の乳児に対する保育に関して学ぶ研修です。個々の子どもの発達に応じた関わり方や保育スキル、保育環境の構築の理解を深め、他の職員等への適切な助言・指導ができるよう実践的な能力を身につけます。

幼児教育

幼児教育は、乳児以降の幼児に対する教育に関して学ぶ研修です。個々の子どもの発達に応じた関わり方や幼児教育、環境構築の理解を深め、他の職員等への適切な助言・指導ができるよう実践的な能力を身につけます。

障害児保育

障害児保育とは、障害児に対する保育に関して学ぶ研修です。障害への理解や一人ひとりの状態・程度に合わせた関わり方や障害児保育の計画、日常で必要なサポートの理解を深め、他の職員等への適切な助言・指導ができるよう実践的な能力を身につけます。

食育・アレルギー対応

食育・アレルギー対応とは、食育やアレルギー対応に関する知識を学ぶ研修です。食育計画の作成や栄養における基礎的な知識、適切なアレルギー対応方法の理解を深め、他の職員等への適切な助言・指導ができるよう実践的な能力を身につけます。

保健衛生・安全対策

保健衛生・安全対策とは、保健衛生や安全対策に関する知識を学ぶ研修です。保健計画の作成や適切な対策を実施できる力を習得し、他の職員等への適切な助言・指導ができるよう実践的な能力を身につけます。

保護者支援・子育て支援

保護者支援・子育て支援とは、保護者への支援や子育ての支援に関する知識を学ぶ研修です。地域における子育て支援や保護者に対する相談援助、虐待予防の理解を深め、他の職員等への適切な助言・指導ができるよう実践的な能力を身につけます。

マネジメント研修

マネジメント研修とは、主任保育士の下でミドルリーダーとして求められるスキルを習得する研修です。ミドルリーダーの役割を理解し、自園の円滑な運営、マネジメント力、リーダーシップ力、人材育成、職場環境づくりといった保育の質の向上に必要な能力を身につけます。

保育実習研修

保育実習研修とは、保育士試験合格者や潜在保育士のように実習経験の少ない保育士が受講できる研修です。子どもとの関わり方や、身体・モノ・言葉・音楽それぞれを使った遊びなどを学び、実際の現場で遊びと環境を通じた保育の展開を行うために必要な能力を習得します。

保育士等キャリアアップ研修を受講すると給料が上がる？

保育士等キャリアアップ研修が実施される目的の一つに、処遇改善が挙げられています。そのため、研修を受講することで給料アップが期待できるでしょう。

具体的には月額4万円もしくは月額5,000円の加算対象人数分が支給されます。副主任保育士等については月額4万円の処遇改善を行う職員を1人以上確保したうえで副主任保育士等、職務分野別リーダー等に配分されます。職務分野別リーダーについては月額5,000円の処遇改善を行う職員を加算対象人数以上確保し、配分されます。

また、同一法人内の他の保育施設の職員の処遇改善に充てることも可能です。

このように配分方法は園に一任されているため、研修を受講したすべての職員が一律給料アップを見込めるわけではないようです。

保育士等キャリアアップ研修受講後の新役職の条件

保育士等キャリアアップ研修を受講したからといって新役職につけるというわけではありません。新役職へのキャリアアップを実現するには、それぞれの条件をクリアする必要があります。

副主任保育士

副主任保育士は、ミドルリーダーとして園長・主任保育士と他の職員をつなぐ役割を持ち、自園の運営や保育の質向上のための能力が求められます。

副主任保育士の役職に就くには以下の要件を満たしている必要があります。

経験年数が概ね7年以上である
職務分野別リーダーを経験している
マネジメント研修に加えて3つ以上の分野の研修を修了している
副主任保育士の役職が発令されている

専門リーダー

専門リーダーは専門性の高いスペシャリストとして、園長や主任保育士を支えつつ他の職員への助言・サポートも行う役割を担っています。

専門リーダーの役職に就くには以下の要件を満たしている必要があります。

経験年数が概ね7年以上である
職務分野別リーダーを経験している
4つ以上の分野の研修を修了している
専門リーダーの役職が発令されている

職務分野別リーダー

職務分野別リーダーは専門分野のスペシャリストとして、「乳児保育」「幼児教育」「障害児保育」「食育・アレルギー対応」「保健衛生・安全対策」「保護者支援・子育て支援」の6つの研修分野から担当を選びます。

職務分野別リーダーの役職に就くには以下の要件を満たしている必要があります。

経験年数が概ね3年以上である
担当する職務分野の研修を修了している
修了した研修分野に係る職務分野別リーダーの役職が発令されている

保育士等キャリアアップ研修を受けるには

キャリアアップ研修は、各都道府県で指定されている研修実施機関に申し込む必要があります。

ただし、受講者は勤務先の保育園によって決定されるため必ずしも受講できるとは限りません。また、受講日や定員数が決まっている場合もあるため、事前に確認をしてから申し込みを行いましょう。

研修は対面研修やオンライン講義。eラーニングなどさまざまです。詳しくは各都道府県のサイト、または実施団体の案内を御覧ください。

給料アップを目指すなら転職する手段もある

保育士等キャリアアップ研修を受講し、役職に就くことができれば処遇改善手当を受け取って給料アップが期待できるでしょう。しかし、給与加算は役職に応じて金額が異なるだけでなく、勤務先の保育園によっても変わるため、必ず月額4万円加算されるとは限りません。

給料アップを目指すのであれば、別の保育園へ転職するというのも一つの手段です。

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まとめ

今回は、保育士等キャリアアップ研修についてご紹介しました。給料アップやキャリアアップを目指す方にとって活用したい制度でしょう。転職を検討している場合でも、研修を修了した事実や役職での経験は活かされるため、保育士としてのキャリアアップを見据えて受講するのもおすすめです。

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kiralike編集部

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