保育園の個人面談の準備をしよう!保護者に聞くことや進め方のポイントをご紹介
公開日: 更新日: 保育 , 保育の仕事個人面談は、新人保育士にとってハードルが高そうな行事ですが、保護者への理解を深める絶好のチャンスでもあります。個別の対応に自信がなくても、子どもを大切に思う気持ちはきっと伝わりますよ。
今回は、個人面談を控えてドキドキしている保育士さんに、面談中に保護者に聞くことや進め方など、覚えておきたい予備知識をご紹介しますね。
目次
保育園の個人面談にはどんな目的があるか
保育園で行う「個人面談」とは、保護者と担任保育士が1対1で話をする場を設けることです。個人面談の目的は大きく分けて4つあります。
保護者との信頼関係を築く
保護者と保育士のコミュニケーションの主な手段は、送迎時のやり取りと連絡帳です。しかし送迎時は、保護者が時間に追われていたり子どもがそばにいたりするため、込み入った話をすることが難しい場合もあります。連絡帳での文字だけでのやり取りだけでは伝わりにくいニュアンスの話もあることでしょう。
個人面談の席であれば、保護者と対面してじっくりと向き合うことができます。静かな環境で個人的に話をすることで、お互いへの理解と信頼を深めていくことが、個人面談の目的です。
子どもの情報を共有する
保護者と保育士が「子どもの様子」を伝えあい、お互いに自分が知らない情報を得ることで、これまで以上に、子どもに寄り添うことができるようになります。また、情報を共有しておくと、子どもや保護者へ誤解を与えることも避けることができます。
保護者の思いを聴く
個人面談では、保護者の「子どもに対する思い」「子育ての価値観」「保育園に対して感じていること」などをじっくり聴くことができます。いただいた意見を日々の保育に活かすことができますし、保護者は自分の思いを話すことでスッキリし、保育士に受け止めてもらえたという安心感を持つことができます。
保護者の子育てを支援する
子育てについて、悩みやストレスを抱えている保護者も多いことでしょう。保育士は保護者の気持ちに共感し、必要に応じて助言や提案をします。1対1だから話せることもあるので、個人面談は「子育て支援の場」でもありますね。
個人面談までに保育士が準備しておきたいこと
個人面談に必要な準備とは下記の2つです。どちらも、面談日の1カ月ほど前から早めに取り組むことで、トラブルやミスを防ぐことができます。
個人面談の準備①「面談日のスケジュール調整」
個人面談の準備で手間が掛かるのは「面談日の調整」です。保育士は「個人面談のお知らせ」を配布し、保護者の希望に合わせて面談日のスケジュールを立てていきます。
希望を伺う際に「担任保育士に質問したいこと」などをヒアリングしておくと、当日の進行がスムーズになります。
個人面談の準備②「子どもの情報や作品をまとめておく」
子どもの成長を感じた場面(言葉など)は、忘れないようにメモをしておきましょう。保育面談の1~2カ月前から子どもの様子を観察して、保護者に伝えたい情報をストックしておくと役に立ちます。
また、面談では「子どもの作品」を見せながら話を進めると、会話がスムーズになり和やかな雰囲気になります。最近の作品を2~3個ほど準備しておきましょう。
保育園で行われる個人面談の流れ
個人面談のスタイルは園によって違いますが、一般的な面談の流れは下記の通りです。
【個人面談フロー】
- 簡単な挨拶
- 子どもの様子を伝える
- 家庭での様子を聞く
- 保護者の悩み・質問・要望などを聞く
- 保護者から聞かれたことに答える
- 連絡事項を伝える
面談時間の長さは「15~30分」と、園によって幅があります。個人面談の時間が短い園では、面談の流れを簡略化することもあります。
保育園の個人面談で保護者に聞くこと・話すこと
個人面談では保護者にどんなことを聞くのか、また、こちらから話すことは何か、個別にまとめておくことをおすすめします。
個人面談で保育士が聞くこと
個別面談は、保護者に話を聞く貴重な機会です。保育士が聞いておきたいのは次のような内容です。
【保護者に聞きたいこと】
- 家庭での子どもの様子
- 子どもについて気になっていること
- 子育てで悩んでいること
- 子育てで感じるストレス
- 保育園への要望・意見・不満など
- 人間関係(保護者同士)で困っていること
保育士が知らない「家庭での子どもの様子」はとても大事な情報です。自分から話すのが苦手な保護者には、保育士が具体的な質問をしてきっかけを作りましょう。
保育士からの質問例
ただ「ご家庭ではどうですか?」といった質問をするのみでは保護者から話を引き出せない場合や話が進まない場合があります。質問をしながら具体的な話を聞き出せるよう工夫してみましょう。最近になってできるようになったことや、園での様子を交えつつ質問することをおすすめします。
①保育園での遊びのこと
(例)「保育園では○○する遊びが好きな様子ですが、ご家庭ではいかがでしょうか?」
②できるようになってきたこと
(例)「最近、サポートしながらであれば自分で着替えができるようになってきましたが、おうちで頑張られていることなどありますか?」
③食べ物のこと
(例)「給食では○○がでると喜んでくれるのですが、ご家庭ではどのような様子ですか?」
個人面談で保育士が話すこと
個人面談で、保育士が伝えるのは「子どもの様子」です。下記のようにポイントを絞って、簡潔に話しましょう。
【保護者に伝えたい子どもの様子】
- 遊びの様子
- 生活の様子
- 好きなこと、好きな友だち
- 成長が感じられたこと
- 最近気になること
たくさん伝えようとするあまり、保育士の話が長くなってしまうことは避けたいものです。子どもの様子については連絡帳で伝えることもできるので、個人面談では話すことよりも「聞くこと」をメインにしましょう。
保育園の個人面談をスムーズに進めるために
保育士のちょっとした配慮で、個人面談の流れがスムーズになります。保護者が「来て良かった」と思える面談にするためにも、事前にできることをしておきましょう。
座席は「保護者が緊張しづらい配置」にする
個人面談の座席は、正面で向かい合うスタイルで行うのが一般的ですが、お互いの緊張感が高くなるのがデメリットです。テーブルの角を挟んで「直角」に座り、斜めに向き合うことで緊張感が軽減し、保護者との距離感も近くなりますよ。
保護者が相談したいことをあらかじめ書いてもらう
保護者に配布する「個人面談のお知らせ」に記入欄を設けて、保育士への質問・子育ての悩み・気になっていることなどを書いてもらうようにします。あらかじめ聞きたいことが分かっていると、事前に答えを考えておくことができるので面談が楽になりますよ。
個人面談後の「アフターフォロー」が大事
個人面談は、保育士のアフターフォローによってさらに意義深いものになります。今後の信頼関係に繋げていくためにも、最後まで丁寧に対応することが大切です。
話が途中で終わってしまった時には
保護者が話している最中に、制限時間になったことを伝えるのはとても心苦しいものです。悩みを聞いている時や、話が盛り上がっている時は、保育士も残念な気持ちになりますね。そんな時は、途中で終わることを丁寧にお詫びし、日を改めて聞きたいということを伝えましょう。
その場で答えられない質問をされた時は
保護者の質問に対して、答えが分からない時や曖昧な時は、無理に答えようとせずに「一旦保留」にしてもらいましょう。その時は「分からないんです」とは言わず、「その件については確認をしたいので、少しお時間をいただいてもよろしいでしょうか」とお願いします。できれば翌日までに確認をして、すぐに返答するようにしましょう
連絡帳を通して「個人面談のお礼」を伝える
個人面談の最後に必ずお礼を言うことはもちろんですが、下記のように改めて連絡帳で感謝の気持ちを伝えることで、保護者は保育士の熱意を感じます。
【連絡帳に書くこと】
- 個人面談に来てくれたことへの感謝
- 保護者が話してくれたことへの感想
- 保護者のおかげでお子様への理解が深まったこと
- これからもお子様を大切に保育していくこと
現役保育士さんの個人面談での失敗談とアドバイス
ここまで保育園の個人面談の進め方のポイントなどをご紹介してきましたが、現役の保育士の方々は、どのようにして保育園の個人面談に取り組んでいるのでしょうか。
今回は、東京都の杉並井荻雲母保育園に勤務している2人の保育士さんに、保護者との個人面談についてお話を伺いました。個人面談の席でどのような話をしているのかなど、実際のところを知りたい新人保育士さんはぜひ参考にしてください。
現役保育士さんの個人面談インタビュー①
名前 | 鈴木さん |
性別 | 女性 |
勤務年数 | 2年 |
Q.個人面談の席で保護者の方とどのような話をしていますか?
子どもの普段の様子や好きな遊び、成長したことを伝え保護者に喜んでもらえる場を作っています。また、子どもの課題を伝え、保護者と連携して改善できるよう取り組んでいます。
さらに保護者の不安な気持ちなどをしっかり受け止めて面談でゆっくり話を聞いた上で、安心してもらえるようにアドバイスをしています。お子さんができるようになったことや頑張っていること、例えば1人で着替えができるようになったことをお伝えし、親御さんが手助けする前に、まず子どもにやらせてあげてほしいとお伝えしています。
また、「他の子どもと比較してうちの子はどうか」と心配する保護者が多いと感じます(落ち着きがない、パンツトレーニングなど)。
そういった保護者の方に対しては、保護者の話をしっかり聞いた上で「その子だけが特別できないわけではない、できない子も多い」と伝えています。落ち着きがないなど、改善すべき行動の事実はお伝えしますが、フォローはするようにしています。園にいる間は保育士が見てくれているからと安心いただけるように心掛けています。
Q.保育園で実施する保護者との1対1の個人面談で「失敗してしまった」エピソードを教えてください。
私が勤めている杉並井荻保育園では、面談の日程希望をお伺いするおたよりに「当日聞きたい質問を記入する欄(アンケート)」を設けているため、事前に質問は把握しているのですが、事前に聞いていた話以外の質問をいただくことがありました。質問の内容が専門的だったこともあり、すぐに答えられず、施設長に確認し後日返答したが時間が掛かってしまいました。
他にも、保護者からの質問が食に関しての専門的な質問で、栄養士さんとの連携不足でその場で答えることができず、返答が遅くなってしまったことがあります。
Q.個人面談での失敗を繰り返さないために行っている改善策があれば教えてください。
お迎えの際に5分程度保護者と話す時間を設け、面談アンケートの内容を詳しく聞き、当日までにできるだけ把握しておきます。面談の内容や質問は施設長に共有するようにしているので、その場で答えられなかった質問の回答は施設長にも一緒に考えていただいています。
また、栄養士さんと月1のケース会議で、子どもの様子や気になる点を詳しく伝えるようにしています。
現役保育士さんの個人面談インタビュー①
名前 | 貝瀬さん |
性別 | 女性 |
勤務年数 | 1年(保育士歴は10年以上) |
Q.個人面談の席で保護者の方とどのような話をしていますか?
杉並井荻雲母保育園ではあらかじめ面談についてアンケートを配布し、相談事を記入いただいているので、当日はアンケートに基づいてお話を進めています。
充実した時間になるように、当日は保育士から先に園の様子をお話しし、「おうちではどうですか」と質問しつつ保護者の話を聞く→保護者の相談を聞く→最後に栄養士の話 の順番で進行しています。
保護者からの相談では、好き嫌いが多い、保育園では食べるけど家で食べない、体が小さい、母乳がやめられない、指しゃぶりが治らないといった悩みを聞くことが多いです。
個人面談は年3回実施しているので、前回の面談の際にお伺いした悩みや心配事を踏まえ、数カ月経ってどうなったかというお話もしています。
また、保育士の他に栄養士も面談に同席し、食事面の話もしています。
Q.保育園で実施する保護者との1対1の個人面談で「失敗してしまった」エピソードを教えてください。
杉並井荻雲母保育園では面談時間を20分に設定しているのですが、時間内に話が終わらずオーバーしてしまうことがありました。先ほどもお話しした通り、栄養士も交えて3人で話をするため、20分はかなり短く、貴重な時間だと感じています。
また、保護者の子育ての悩みについて適切にアドバイスができたか、もっとこう答えれば良かった、と終わってから反省することもしばしば。自分なりに、自身の子育て経験や保育経験を元にお答えしてはいますが、本当にその回答で良かったかと考えてしまいます。
Q.個人面談での失敗を繰り返さないために行っている改善策があれば教えてください。
時間内に面談を終わらせるために、話のテーマはピンポイントに絞るようにしています。お話が好きな保護者もいらっしゃいますが、保護者からの話を聞くだけの時間にならないように気を付けています。
保護者からの質問や悩み相談に対しては、否定的に話をしないように心掛けています。例えば、保育園では食べるのに家ではご飯を食べてくれないお子さんについては、「家では甘えたい気持ちになりますが、保育園では頑張っているんですね」とお声掛けをすると、少し安心いただけているように感じます。
すぐ解決はできないこともありますし、今も一緒に考えている課題もあります。次の面談のタイミングで経過を聞くようにし、常に寄り添って話を伺っています。すぐに良くしようとお声掛けするのは保護者にもお子さんにもストレスとなるため、少しでも改善に繋がればいい、というスタンスでお話しています。
自分の子育てや保育経験を元にお話しすることはもちろん、相談内容によっては先輩保育士や施設長などに聞いたりして後日丁寧に補足、説明することも。その他、雲母保育園ではお迎えの際に毎日5分間保護者とお話しする時間を設けているため、日々の細かい相談などはその際に聞くようにしています。
Q.新人保育士が個人面談をするにあたってのアドバイスを教えてください。
まず、話す前にどんな話をするかノートなどに書いておくと良いですね。緊張して話が飛ぶこともあるため、細かく話の流れを書き込み、必ず話さなければならない話には赤線を引くなど、とにかくしっかり用意しましょう。
ただし、緊張のあまりノートに書いたことを読むだけになるのはNG。コミュニケーションを取り、双方でお話しすべき場なので、会話のキャッチボールを意識しましょう。
緊張して後悔したり、できないことがあったりするのは仕方がありません。緊張してうまくいかないことがあれば、反省して次回からよりうまく話せるようになれば大丈夫です。反省することは成長に繋がる大切な気持ちなので、忘れないでほしいと思います。
最初はうまくできていなかった新人保育士が少しずつ上手に面談できている様子を見ていると、成長を感じられてうれしく思います。ぜひ自分なりの工夫をしていってもらいたいです。
先輩保育士や主任に同席してもらい、フォローをお願いすることも職場によってはOKなので、不安がある場合は相談してみても良いと思います。
保育園の個人面談についてのまとめ
今回は、保育園の個人面談の「準備・内容・進め方」についてお伝えしました。
経験の浅い保育士さんは、保護者と1対1で向き合うことに緊張感を感じているのかもしれません。うまく話ができるか、質問に答えられるか、不安も大きいことでしょう。
ただ、ドキドキしているのは自分だけではなく保護者も同じです。個人面談の席では保護者から話を聞くことに重点を置いて、面談を進めましょう。
せっかく時間を作ってくださる保護者のために、充実した個人面談になるよう最善の努力をしてくださいね。
保育園の個人面談に関するよくある質問
Q. 面談当日はの服装はエプロンでも大丈夫でしょうか?
面談は子どもの対応時とは異なり、保護者との話し合いの場です。エプロンではなくジャケットを着用する等社会人としてふさわしい服装の方が好ましいといえます。ただし、当日の服装については園によって方針が決まっているところもありますので、先輩保育士や園長に必ず確認するようにしましょう。
Q. 面談予定の保護者が当日に遅れてきてしまいました。どうすべきでしょうか?
もし保護者が遅れてしまった場合は、その日の最後の時間に面談をずらすか、後日別の日程で調整することが一般的なようです。他の保護者への影響を最小限に抑える工夫が必要といえます。
Q. 保護者の方から、すぐに回答できない質問をされてしまいました。
すぐに回答が難しい質問について、無理に答える必要はありません。確実な回答を用意する方が重要な場合もありますので、丁寧に後日回答する旨を期限を提示してお伝えしましょう。
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