慣らし保育の進め方のコツは?泣く子や食べない子への対処法【保育士向け】

公開日: 更新日: 保育の仕事

食事中に泣く子入園したばかりの子どもが、保護者から離れて新しい環境で過ごすために、まずは短時間保育からスタートして、保育園にいる時間を段階的に増やしていくことを「慣らし保育」といいます。慣らし保育の経験が少ない保育士さんにとっては、新入園児や保護者にどのように対応すれば良いのか迷うことも多いでしょう。

今回は、慣らし保育をうまく乗り切るための対処法と進め方のコツをお伝えします。ポイントを覚えておくと、泣いたり暴れたりする新入園児に対応する際にも気持ちに少し余裕ができますよ。

なぜ保育園では「慣らし保育」が必要なのか

慣らし保育には、単に「子どもが保育園に慣れるまでの期間」という意味だけでなく、3つの大事なねらいがあります。

慣らし保育のねらい①「子どもの負担を少なくする」

赤ちゃんを抱っこする保育士大人でも新しい環境で働き始めることは、心身共に負担が掛かるものです。保護者と一緒に安心して暮らしていた子どもが、急に知らない環境に置いていかれるショックと戸惑いは、大人の想像以上です。それは0歳の乳児でも、言葉が通じる幼児でも同じことです。慣れるまでは、心にも身体にも大きな負担が掛かります。

慣らし保育をすることで、新入園児の負担を軽減することができます。保育時間を段階的に長くしていくと、保護者と離れて過ごすことにも少しずつ慣れ、心や身体へのダメージを抑えることができます。

慣らし保育のねらい②「保護者の不安を軽減する」

お迎えにきた母親自分の子どもを保育園に預けることに対して、大きな不安を持っている保護者は多いものです。子どもが泣いて嫌がると、仕事に出ることへの心苦しさも強くなり、後ろ髪を引かれる思いで出勤することになります。

慣らし保育は、子どもを早く迎えに行くことができるので、保護者は心配で悶々とする時間が少なくなります。保護者自身も「保育園に子どもを預ける」ということに、少しずつ慣れていきます。

慣らし保育のねらい③「保育士と園児・保護者との信頼を築く期間」

慣らし保育は、保育士にとって大きな意味のある期間です。誠意のある温かい対応を心がけて子どもと保護者に寄り添い、信頼関係の構築に努めます。

子どもには「この大人は怖くない」、保護者には「この保育士なら安心して自分の子どもを預けられる」と安心してもらうため、慣らし保育の期間を取ることは保育士にとっても重要なのです。

保育園の慣らし保育の期間ってどれくらい?

慣らし保育は、子どもの状態と保護者の勤務事情を考慮して計画します。一般的には、子どもの状態に合わせて2~3週間の慣らし保育を行いますが、保護者の事情によっては1~3日の短期間になるケースもあります。

保護者に時間的な余裕がある場合は、下記のように段階的に保育時間を増やして慣らし保育をしていきます。

【段階を分けた慣らし保育の例】

ステップ1(登園から1~2時間)

ステップ2(登園から3~5時間 ※給食あり)

ステップ3(登園から6~7時間 ※お昼寝あり)

ステップ4(通常の保育時間)

ステップごとの日数については、保護者と話し合いながら決めていきます。子どもの変化に合わせて、途中で各ステップの日数を増やしたり減らしたりすることもあります。

慣らし保育中の子どもへの対処法

慣らし保育中に見られる「子どもたちの様子」と、担任としてどのように対応していけば良いのか「保育のヒント」をご紹介します。

子どもの様子①「ずっと泣いている」

新入園児は「保護者のいない不安」や「知らない場所への恐怖」で泣いています。やり場のない子どもの気持ちを受け止めるのが、保育士という存在です。

いくらなだめても泣き続ける子どもを、何とかしなければと焦るのは禁物です。逆に「いっぱい泣いてもいいよ」と優しく声を掛けることで、保育士さんの心に余裕が生まれ、子どもに対して温かい気持ちを持つことができます。

子どもは泣き続けていても「保育士の声の温かさ」を覚えているので、慣れてくると親しみを感じます。不安や恐怖の中にいた自分をしっかりと受け止めてくれた保育士のことが大好きになります。

子どもの様子②「給食を食べない」

慣らし期間中の子どもは、保育園にいることだけで精一杯なので、食欲もなく給食に関心を持たないこともあります。完食しなくても、食べたことや食器に触れたことを喜んであげましょう。

慣らし期間中はあまり給食を食べない可能性があることを保護者にあらかじめ伝えておき、足りない分の栄養は家庭で補給するようお願いしておくと良いでしょう。

子どもの様子③「お昼寝をしない」

お昼寝をしている保育園児お昼寝ではまずはしっかり眠ることを目標にせず、みんなと一緒に横になることができれば大丈夫です。園生活が軌道に乗りのびのびと遊ぶようになれば、自然に眠くなることでしょう。

1人で寝ることが不安な子どもには、添い寝をしてスキンシップをしましょう。おうちでの寝かしつけ方法を保護者から聞いておき、保育園でも実践してみてもいいですね。

慣らし保育が初めての保育士さん必見!進め方のコツ

慣らし保育をスムーズに進めるためのコツは、子どもを迎えるための準備をしっかり行うことと、子どもが落ち着くためのポイントを見つけることです。

入園前に子どもの情報を聞いておく

入園前の面談やアンケートなどを通して、好きな遊びや食べものなどの新入園児に関する情報をできるだけ集めておきましょう。事前情報があれば子どもへの対応や保護者とのコミュニケーションに役立ちますよ。

子どもが安心できる「環境作り」をする

段ボールで遊ぶ男児新入園児を迎える時は、環境作りにも工夫しましょう。ひとり遊びコーナーや段ボールの家、空き部屋などを準備して、慣らし保育中の子どもが安心できる場所を作ります。保育園の中に1人になれる場所があると、子どもにとって「居場所」になり、気持ちが落ち着いてきます。

園内を移動しながら子どもの興味を観察する

泣いている子どもをなだめる時は、抱っこしながら保育園の中を移動してみます。園内に興味を引くものが見つかれば、それが子どもにとって「好きなもの」であり「安心できるもの」になりますね。

慣らし保育は「保護者へのフォロー」も重要

慣らし保育が始まったら、担任保育士は「保護者へのフォロー」にも配慮する必要があります。この時期、保護者も下記のように様々な不安を抱えています。

慣らし保育中の保護者の不安・悩み

・我が子は本当に保育園に慣れるのか心配

・トイレ・給食・お昼寝が心配

・友だちと仲良く遊べるのか気になる

・保育士がどんな人か分からないので不安

・良い保育園なのか実感できないので不安

・職場復帰に不安がある

・仕事と子育てを両立できる自信がない

・心身共に疲れている

ポジティブな報告をして保護者の不安の軽減を

連絡帳を書く保育士保護者の不安な気持ちを楽にするには、子どもの「良い変化」を伝えることです。例えば、今日の様子を伝える時は、次のように「ポジティブな変化」をメインにして保護者に話しましょう。

【保護者への報告例】

・今日は昨日よりも泣いている時間が少なくなって、お友だちが遊んでいる様子を見ていることが多かったです。何度か笑顔も見せてくれました。

・登園後は大泣きでしたが、お母さんの姿が見えなくなると気持ちが切り替わったのか、おもちゃを手に取っていました。○○ちゃんが泣いているのに立ち去るのは心苦しいかと思いますが、子どもは意外とたくましいのでご安心ください!

送迎時は、タイミングによって保育士に余裕がないことも多いので、連絡帳を通して1日の報告をするのがおすすめです。時々「心配なことはありませんか」「お母さんも仕事と家のことでお疲れでしょう」など、保護者を気遣うことも忘れないようにしたいですね。

保育園での慣らし保育に関するまとめ

慣らし保育についての詳しい説明と、うまく乗り切るための対処法や進め方のコツをお伝えしました。

新入園児もその保護者も、慣らし保育期間中は不安でいっぱいです。「保育園は安心して過ごせるところ」と認識してもらえるよう、その不安な気持ちを受け止めていくことを第一に考えましょう。

慣らし保育中の子どもは、わがままで泣いているのではなく、大好きな保護者と別れるのが辛いから泣いています。新入園児が泣くのは当たり前だということを心にしっかり留めていれば、落ち着いて子どもを迎えることができるようになりますよ。

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タグ : 保育ノウハウ
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kiralike編集部

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