保育士さん必見!人見知りの子どもへの接し方と周りの子どもたちへの配慮の仕方
公開日: 更新日: 保育の仕事新年度が始まる4月。どんな出会いがあるか期待がふくらむ一方、初めて保育園に通う子や新しく受け持つことになった子どもに人見知りをされてしまい、接し方に悩む保育士さんも少なくありません。けれど、新しい出会いという未知の世界に踏み出す子どもたちの「人見知り」は、成長の大切な一過程。見守りながら信頼関係を築いていくにはどうすればいいか、保育士ならではの視点で考えていきます。
目次
子どもはなぜ人見知りをしてしまうのか?
人見知りをする子もいればまったくしない子もいて、兄弟姉妹であっても個人差があり、そのメカニズムはまだ十分に分かっていません。ただ、さまざまな研究を通して「家族以外と接触する機会が少ない」「親の性格」「周囲の人間の接し方」といった外的要因ではなく、生まれ持った性質や脳の働きが関係していることが分かっています。
人見知りをしてしまう時期
一般的には生後6ヵ月ごろから2~3歳まで続くことが多いとされています。月齢との関係を調査した結果によると、早い時期から人見知りする赤ちゃんもいれば遅い時期にする子もいて個人差が大きく、3歳以降でも続くケースもあるようです。
「ママの顔が分かるようになった証拠」は間違い?
人見知りを「他人と母親とを区別できるようになった証拠」と言う説もありますが、これは間違いだとされています。子どもは生まれた直後から母親を見分けていることが研究で明らかになっており、母親とはきちんと区別した上で、人見知りが始まるのだそう。
相手に近づきたいけど怖いという思い
科学技術振興機構の研究結果によると、人見知りを示す子どもは、生まれつき「接近」と「怖がり」の性質が強いそうです。つまり、単に他人を怖がっているのではなく、「相手に興味があって近づきたい」「やっぱり怖い」という2つの気持ちで葛藤した結果、人見知りが表れるようです。人見知りする子どもは、他人への強い興味も持ち合わせていると考えられます。
おとなを人見知りしてしまう、子どもへのかかわり方
本文 人見知りが他人への興味から起こっているのなら、まさに子どもはいま、あなたとの関係性を学んでいるところ。泣かれたり拒絶されたりするとつい落ち込んでしまい、「接し方が悪いのでは」と自分を責めてしまいがちですが、急いで打ち解けようとしなくても大丈夫です。子どもの変化を見守りながら、焦らずゆっくりと関係を築いていきましょう。
まずは「この人は味方なんだ」と分かってもらうための、接し方のコツをご紹介します。
目をじっと見すぎない
人見知りが強い子どもは、目が合うとそらしてしまう特徴があります。相手の目線や顔の向きに敏感なため、無理に視線を合わせようとすると恐怖心を抱かせてしまうことも。子どもが慣れてくるまでは、そっと見守る程度にとどめておきましょう。
子どもの両親や周囲の人たちと笑顔で話をする
正面から見つめられると怖くても、子どもはよそ見をしている人の表情やしぐさをよく観察しています。両親や周囲の人など、子どもが信頼する相手と笑顔で話す様子を見せることで、恐怖心を和らげる効果が期待できそうです。
行動の前に言葉をかける
事前に声かけがあるかないかで、その後の行動に対する安心感が違ってきます。例えば、手をつなぐ時もいきなり手を取るのではなく、「つなごうか」とひと声かけてみて。子どもも心の準備ができ、その積み重ねがあなたへの信頼感につながります。
子どもが周囲を観察しているときは見守る
ひとりぼっちでいても、周囲をじっと観察しているのは「人に近づきたい」という気持ちが高まっている証拠。無理に話しかけたり人の輪に入れたりせずに、子ども自身のペースに合わせて、自分から近づいていけるよう見守ってあげることが大切です。
周りの子どもたちへの対処法
人見知りをする子ばかりを気にかけていると他の子がやきもちをやいてしまったり、仲良くなりたいのに相手が人見知りをしていることが分からずケンカになってしまったり、周囲の子どもへの配慮も必要になってきます。さまざまな個性を持った子どもがお互いに仲良く過ごしていくために、保育士さんが気を付けておきたいポイントを考えてみましょう。
なついてくれる子とばかり仲良くしない
「先生と遊びたい!」と人懐っこい子どもにせがまれたら、「みんなで遊ぼう」とほかの子どもに疎外感を持たせない遊びの仕方を提案してみましょう。人見知りの子や無口な子も、態度で表せないだけで先生やみんなと一緒に遊びたいと思っているのかもしれません。人見知りの子どもたち関心がある素振りを見せたら、声をかけてあげましょう。
子ども同士の遊びに口出ししない
人見知りする子どもを心配するあまり、つい他の子どもに「仲間に入れてあげて」「おもちゃを貸してあげて」などと言いたくなってしまいますが、人見知りをする子もしない子も、子どもが自発的に起こす行動を見守りましょう。人見知りをしない子がする子に話しかけたり遊びにさそったりすることによって、人見知りする子も自己主張を覚えていくかもしれません。
心配するような表情をせず、いつも笑顔で!
クラスのムードメーカーはやっぱり保育士さん。人見知りの子が気になって浮かべる心配そうな表情も、子どもたちは敏感に感じ取っています。誰とでも仲良くできる優しさを子どもたちと共有するには、まずあなたの笑顔から!大好きな先生が楽しそうに笑っていると、子どもたちもうれしく、優しい気持ちになるものです。
まとめ
子どもはそれぞれのスピードで他者との関係性を学び、成長していきます。人見知りの子どもがなかなか打ち解けられずにいるのは、新しい環境に慣れるのにちょっぴり時間がかかるだけ。周囲の子どもたちも含め、子どもたちが安心できる居場所作りに努めながら、人見知りの子が心を開いてくれるまで、ゆっくりと見守ってあげたいですね。
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