ADL向上にもつながって、自立意欲もアップ!高齢者さんの整容ケア

2019.04.03介護の仕事

洗顔や整髪など、身だしなみを整える「整容」は、高齢者さんが気持ちよく過ごすためだけでなく、社会的な生活を送るうえで欠かせないケア。自立生活の指標となる日常生活動作能力(ADL)のひとつに数えられ、介護と寝たきり予防の観点からも重要視されています。介護職、看護師の方が毎日行う整容ケアが高齢者さんの自立への大きな一歩となるよう、効果的なサポート方法をお伝えします。

身だしなみを整えて前向きに!整容ケアのメリット

ベッドの上で過ごす時間が長くなったり、思うように体を動かせなくなったりすると、身の回りのことはおろそかになりがちです。そこから生活リズムが乱れ、人と会うのがおっくうになってしまうと、社会との接点も途絶えてしまう…という悪循環に。身だしなみを整えることは、さっぱりして気持ちがいいだけではなく、高齢者さんが意欲的に日々を過ごしていくために大切な活動です。具体的なメリットを見てみましょう。

人と会うことに前向きになる

近所だからとボサボサ髪のすっぴん姿で出かけたら知人を発見!こんな時、相手に気付かれないうちに隠れた、なんてこと、私たちにもありますよね。身だしなみが整っていない状態で人と会うのにためらいがあるのは、高齢者さんも同じ。整容ケアをすると自分に自信が持てるようになり、お見舞いの方とおしゃべりを楽しんだり、他の利用者さんにも自分から話しかけたりと、前向きにコミュニケーションできるようになります

自立心を高める

人と接する機会が増えると、「誰かに見られている」気持ちにハリが生まれます。それは「いつもきちんとしていたい」「自分で身の回りのことをできるようになりたい」という意欲につながり、それまで介護者に任せていたことも、自分でやってみようとする動機づけになります。できることが増えれば自信にもなるだけに、高齢者さん自身でできるものは習慣化して、自立生活に向けた良い循環を作り出すことが大切です。

感染予防

目やにや伸びた爪をそのままにしていると、菌類のたまり場となって感染症を引き起こす恐れがあります。体を清潔に保つことで感染菌の繁殖を防ぎ、また新陳代謝が高まるため、感染しづらい体作りの効果も期待できます。

整容ケアを行う前に

整容の動作は日常で欠かせないものですから、今日からすぐに取りかかれるものばかり。ですが、ケアを行う前にいくつか頭に入れておきたいことがあります。

できることはなるべく自身で行ってもらう

「低下した日常動作機能のリハビリ」という意味でも、自分でケアを行うことはとても大切。できることはなるべく自身で行ってもらいましょう。スッキリ、サッパリしたという実感とともに、人まかせでは得られない達成感も味わえるはずです。高齢者さんの体の状態をよく見極め、できることを少しずつ増やしていけるようなサポートを心がけましょう。

これまでの習慣をできるだけ維持

「洗顔はぬるま湯で」「いつも使っている整髪料がある」など、毎日欠かさず行ってきた習慣には、その人独自のスタイルがあります。長年の習慣を崩すようなやり方をすると、せっかくのケアが、かえってストレスになることも。事前にご本人やご家族から、決まった手順や使い慣れたアイテムをヒアリングしておきましょう。

声かけをしてから行う

汚れている部分があっても、いきなり触られたりタオルを当てられたりすればびっくりしてしまいますし、何より気分のいいものではありません。「爪を切ってもいいですか」「次はおひげを剃りましょう」と、必ず何をするか伝え、了承を得てから行うようにします。

 <5つの介助内容別>整容ケアのポイント

自立へのステップとしても重要な整容ケア。一方で、寝たきりや思うように体が動かせないなど、介助を必要とする高齢者さんも多くいます。そうした方々に、心地よくケアを行うにはどんな注意が必要か、5つの介助内容別にポイントを挙げてみました。

※高齢者さんの口腔ケアやマイクロアスピレーションについては、「命に係わるトラブルも回避!? 高齢者さんの口腔ケアが大切なワケ」をご覧ください。

① 洗顔ケア

洗面所で洗顔するのが難しい場合は、蒸しタオルを使います。蒸しタオルは洗面器にためたお湯に浸して固く絞るか、湿らせたタオルを電子レンジで3分(500W)ほど加熱して準備します。やけどしないよう、必ず適温か確かめたうえで肌に当てるようにしましょう。

ゴシゴシこすらず、声をかけながら丁寧に拭いていきます。皮脂がたまりやすい小鼻や耳周辺は念入りに、目の周りや唇などはやさしく拭き取りましょう。目やにが固まっている時は、蒸しタオルの蒸気を少し当てておくと取りやすくなります。乾燥が気になる方には、必要に応じて洗顔後の保湿ケアも取り入れましょう。

② 整髪ケア

いきなり根元から髪をとかすと絡まって引っ張ってしまうことがあるので、毛先からゆっくりほぐしていきましょう。なかなか取れない寝ぐせや絡まりには、お湯を含ませたタオルを根元に当てたり、市販の寝ぐせ直しスプレーを使ったりすることも効果的です。抜け毛を気にする人も多いため、ブラシやくしに付いた毛は、高齢者さんの目に触れる前に片付けましょう。

③ ひげ剃りケア

ひげが伸びていると食べ物や汁物が付着しやすくなり、衛生的にもよくありません。電気シェーバーで清潔さを保ちましょう。上手に剃るポイントは蒸しタオル。剃る前に顔や首に当ててひげを柔らかくし、余分な皮脂を取り除きます。肌が乾いたら、ひげが立ち上がってシェーバーでも剃りやすくなります。利き手でシェーバーを持ち、反対の手で皮膚をやさしく伸ばしながら刃を当てていきましょう。皮膚に対して刃が直角になる角度を保つことが、きれいに剃るコツです。

④ 爪切りケア

高齢になるにつれ爪はだんだん厚く硬くなり、巻き爪のような変形も生じてきます。通常の爪切りのほか、硬く変形した爪を切るのに適したニッパー型や仕上げの爪やすりなど、用途に応じて使い分けましょう。

硬い爪はお風呂上がりかお湯で温めてから切ると扱いやすくなります。アーチ型のカットは巻き爪になりやすいため、爪の付け根と並行にまっすぐ切り(スクエアカット)、両角を軽くやすりで整えます。

※爪がきれいになったら、ネイルに挑戦するのもオススメです。詳しくは「ネイルで笑顔の花が咲く!福祉ネイルが利用者さんに届ける“喜び・癒し”の種」をご覧ください。

⑤ 耳掃除

お風呂上がりなど湿気で耳垢が柔らかくなっている時に、耳の入り口とその周辺を綿棒でやさしく拭います。耳の中はとても傷つきやすくデリケート。耳垢はあごを動かしていると自然に出てくるので、奥の方まで綿棒や耳かきを入れて無理にかき出す必要はありません。

耳の中をのぞいて耳垢がたまっている、あまりにも聞こえづらいなどの症状があれば、耳鼻科を受診して取り除いてもらいましょう。

まとめ

身だしなみを整えることは高齢者さんの前向きな心を引き出す力があります。整容ケアの後には鏡を見せ、きれいになった姿を実感してもらいましょう。それまでよりも素敵な、いきいきした表情を見せてくれるはず!ADLだけでなく生活の質(QOL)の向上を目指して、継続的にサポートしていきたいですね。

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タグ : 病院
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kiralike編集部

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