特別養護老人ホームとは?役割や仕事内容をご紹介します!

公開日: 更新日: 介護の仕事 , 介護士の働き方・環境

特別養護老人ホームとは、基本的に要介護3以上の高齢者が入居できる、公的な介護施設のことです。転職を考えるうえで、具体的な仕事内容や役割を事前に把握しておきたい方も多いことでしょう。

この記事では特別養護老人ホームとは何かといった基本情報から、介護職員の役割や仕事内容について解説します。気になる平均給与額についても言及しますので、ぜひ参考にしてください。

特別養護老人ホームとは?

特別養護老人ホームとは、在宅で日常生活を送ることが困難になった高齢者が入居できる、公的な介護施設のことです。「特養」もしくは「介護老人福祉施設」とも呼ばれます。

公的施設のため、民間の老人ホームよりも費用が安いことが特徴ですが、その分入居希望者も多くいます。現在は入居条件が厳しくなったため、以前よりも待機数が減ったといわれてはいますが、地域によっては数年程度の長い待機期間を強いられることもあるといわれています。

特養護老人ホームの入居対象は、基本的に要介護3以上の認定を受けた65歳以上の高齢者です。要介護3とは、着替えやトイレ、入浴など身の回りのことが自分ではできなくなり、常に介護が必要な状態のことを指します。

場合によっては要介護1、2でも入居可能ですが、認知症や知的・精神障害で日常生活がままならないなど、入居の緊急性が高いと認められたときのみが対象です。

施設内では、このような方々の日常生活全般のお世話や健康管理、機能訓練などを行います。在宅で介護が難しい人の生活援助が目的のため、長期間利用し続ける方が多いことも特徴です。

特別養護老人ホームの仕事内容とは?

ごはんを運ぶ女性職員特別養護老人ホームに勤める介護職員の主な仕事内容は、要介護者の生活をサポートすることです。交代制で業務にあたり、24時間365日で介護にあたれるよう体制を整えています。

ここからは、詳しい仕事内容をご紹介します。

入浴、排泄などの身体介護

特別養護老人ホームは重度の要介護者が多いため、入浴・排泄などの身体介助が必要です。入浴回数は週2回に設定している事業所が多く、普段は入浴の代わりに入居者の身体を拭いて清潔な状態にします。

寝たきりや車椅子の人などには、機械浴槽を利用しながら入浴介助を行います。自分で入浴できる場合でも認知症など安全面に不安がある人は、介護職員の見守りが必要です。入浴介助とはお風呂に入れるだけでなく、着替えやドライヤーなどの手伝いも含まれています。

排泄介助ではできる限りトイレへ誘導を促し、寝たきりで動けない方はオムツ交換などで対応します。デリケートな業務のため、特に丁寧な対応が求められるでしょう。介助の際は、入居者の気持ちに寄り添い、自尊心を傷つけないよう意識することが重要です。

食事の介助

食事を食べさせる女性職員特別養護老人ホームでは、食事の介助も行います。自分で食事ができない入居者の手伝いや見守りをするほか、食事の出し方にも気を配る必要があるでしょう。

例えば、食事を細かく刻んだりやわらかくしたり、ときにはペースト状にしたりするなどして、入居者が食べやすいように工夫します。また、食事の時間を楽しくするための声かけも大事なサポートです。

健康・救急管理

入居者の健康管理も業務の一つです。体温や血圧の測定のほか、食事量や顔色など、普段の様子を細かくチェックします。

医師の定期回診がある施設がほとんどなので、その際に入居者の様子や変化を報告し、病気や異変を早期に見つけられるよう努める必要があるでしょう。

身体機能の維持

レクリエーション風景リハビリや身体を使うレクリエーションなどを企画し、入居者の身体機能の維持も行います。

リハビリは「生活リハビリ」が基本で、日常生活の動きをできるだけ自分で行うように促します。本格的なリハビリを行う場合は、理学療法士など専門知識を兼ね備えた人に協力を得ながら取り組むこともあります。

その他、クリスマスなどのイベントを企画して入居者を楽しませ、心の健康を保つことも身体機能の維持につながります。

看取り

特別養護老人ホームは終身利用が可能なため、看取りを行う場面もあるでしょう。2006年に厚生労働省が公表した資料「介護施設等の現状について」では、特別養護老人ホームの退去理由の7割は死亡によるものだとされています。このような背景もあり、現在は「看取り介護ガイドライン」が定められています。

介護職員は、日頃から入居者の様子を見ながら看取り時期を判断し、ご家族やご本人が後悔のないよう最期を迎えられるよう支援する必要があるでしょう。

特別養護老人ホームで働く介護職員の役割

共有スペースで談笑する入居者特別養護老人ホームで働く介護職員の役割は、身体介護や生活援助などさまざまです。その他にも健康管理など、普段と様子が変わりないか確認する役割もあります。

長期利用が前提の施設であるため、入居者にとって近い存在になり、話し相手や相談相手になることも介護職員の役割です。

また、介護職員は、入居者の様子をご家族に伝える役割も果たします。ご家族とコミュニケーションを図り信頼関係を築くことは、施設利用の安心感にもつながります。入居者だけでなく、ご家族の心のケアも大切な役割の一つでしょう。

特別養護老人ホームの平均給与はどれくらい?

特別養護老人ホームへの転職を考えるのなら、どのぐらいの収入を得られるのか確認しておきたいところです。ここからは、特別養護老人ホームの平均給与額について見ていきましょう。

令和2年度の平均給与額(月給)は35万430円

カレンダーと給料袋厚生労働省が公表している「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、 特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)における、令和2年度の平均給与額(月給)は、常勤で35万430円です。平成31年度のデータでは33万2,320円なので、2年間で1万8,110円平均給与額が上がっています。

介護職員全体の平均給与額は31万5,850円なので、特別養護老人ホーム勤務者は介護職員の平均よりも給与額が高めだといえるでしょう。

特別養護老人ホームの給与が高めなのは、夜勤ありきの背景があるためです。デイサービスのような、夜勤がない介護職では28万~30万円程度が平均給与額になっています。

今後の平均給与額は上がると予想

特別養護老人ホーム勤務を含む介護職の給与額は低いと思われがちですが、現在は増加傾向にあります。高齢化にともない、介護関係のサービス需要は今後も高まると予想できるものの、人材不足が深刻になっている状況です。そのため、国は介護職に従事する人を増やすべく、さまざまな制度を整えています。

2019年には「介護職員等特定処遇改善加点」という制度が導入され、多くの介護職員の給与がアップしました。未来の介護職の担い手を増やすべく、今後も新しい制度を導入し続けると思われるため、給与額面など労働環境の改善が見込めるでしょう。

まとめ

特別養護老人ホームの仕事内容や役割、平均給与額についてご紹介しました。特別養護老人ホームの利用は要介護3以上の高齢者がほとんどのため、入浴や排泄、食事など、多くの場面で介助が必要です。

大変な部分もありますが、入居者と深いつながりを持てたり、ご家族から感謝されたりと、やりがいを感じる場面も多くあるでしょう。また、他の介護職より平均給与が高い点も魅力的です。特別養護老人ホームでの仕事に興味がある方は、転職を検討してみてはいかがでしょうか。

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kiralike編集部

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