リハビリを通して治癒を目指す「回復期」の看護とは?回復期看護師の役割や向いている人
公開日: 更新日: 看護 , 看護の仕事急性期治療を終えて症状が安定した患者は、寝たきり防止や社会復帰を目的とした集中的なリハビリテーションが必要です。そこで、患者が本来の生活にスムーズに戻るためには回復期での看護師の存在が重要となります。
この記事では、回復期で働く看護師の役割やメリット、向いている人についてご紹介します。回復期の看護に興味がある方は、ぜひ参考にしてください。
目次
回復期の看護とは
最初に、急性期・回復期・慢性期の各ステージの状態を簡単に解説します。
急性期 | 病気の症状が現れる、容態が危機的な状態 | 急性期とは? |
回復期 | 急性期から脱し、容態が安定した時期 リハビリ等の治療で身体機能の回復・社会復帰を目指す | |
慢性期 | 症状が比較的安定しており、再発予防や体力回復の期間 | 慢性期とは? |
回復期の看護では、急性期での治療を終えて退院後の在宅復帰を目指す患者を対象に、ADL(日常生活動作)の向上を目的とした「リハビリテーション」を集中的に行います。回復期で働く看護師は、回復期リハビリテーション病棟に勤務し、患者が自立した生活を送るためのケア・サポートをします。回復期から慢性期にかけて容態は安定していくため、回復期での効果的なリハビリテーションが重要となります。
回復期リハビリテーション病棟の特徴
回復期リハビリテーション病棟は、回復期リハビリテーションを要する患者に対して、日常生活全般の介助を含めたリハビリテーションを行う病棟です。対象の疾患や患者の状態によって最長180日の入院が可能となっています。
また、厚生労働省により1日平均2単位以上=40分以上(1単位20分)のリハビリテーションを提供することとされており、1日最大9単位=3時間(1単位20分)の長時間リハビリテーションで在宅復帰・職場復帰を目指します。
回復期リハビリテーション病棟基準
回復期リハビリテーション病棟では、医師・看護師等医療スタッフの人数や重症患者の割合などによって以下の5段階の施設基準に分けられます。
入院料1 | 入院料2 | 入院料3 | 入院料4 | 入院料5 | |
医師 | 専任常勤1名以上 | ||||
看護職員 | 13対1以上 (7割以上が看護師) | 15対1以上 (4割以上が看護師) | |||
看護補助者 | 30対1以上 | ||||
リハビリ専門職 | 専従常勤のPT 3名以上、 OT 2名以上、ST 1名以上 | 専従常勤のPT 2名以上、OT 1名以上 | |||
社会福祉士 | 専任常勤1名 | – | |||
管理栄養士 | 専任常勤1名 | 専任常勤1名の配置が望ましい | |||
第三者評価 | 受けていることが望ましい | – | 受けていることが望ましい | – | – |
リハビリテーション実績指数等の院内掲示等による公開 | ○ | ||||
データ提出加算の届出 | ○ | ○ | |||
休日リハビリテーション | ○ | – | |||
重症の患者の割合 (新規入院患者の内) | 4割以上 | 3割以上 | – | ||
入院時に重症であった患者における退院時の日常生活機能評価 ※()内はFIM総得点 | 3割以上が 4点(16点)以上改善 | 3割以上が 3点(12点)改善 | – | ||
自宅等に退院する割合 | 7割以上 | – | |||
リハビリテーション実績指数 | 40以上 | – | 35以上 | – | – |
点数 ※()内は生活療養を受ける場合 | 2,129点 (2,115点) | 2,066点 (2,051点) | 1,899点 (1,884点) | 1,841点 (1,827点) | 1,678点 (1,664点) |
出典:厚生労働省 令和4年度診療報酬改定の概要入院Ⅱ(回復期・慢性期入院医療)
チーム医療
回復期リハビリテーション病棟では、多職種で構成されたチーム医療を展開しています。医師や看護師のほか、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、ケアワーカー、医療ソーシャルワーカー等の医療専門職が連携し、患者一人ひとりの容態に応じたリハビリ・治療を行います。
回復期リハビリテーション病棟と地域包括ケア病棟の違い
回復期リハビリテーション病棟と地域包括ケア病棟の主な違いは以下のとおりです。
回復期リハビリテーション病棟 | 地域包括ケア病棟 | |
目的 | 急性期治療後の在宅復帰・職場復帰を目指す | 急性期治療後または在宅療養中に悪化した患者さんの在宅復帰・職場復帰を目指す |
対象疾患 | あり | ない |
入院日数の上限 | 最長180日 | 60日 |
提供している内容 | ・患者さんが持つ疾患に対する治療 ・チームを組んで在宅復帰、職場復帰に向けた集中的なリハビリテーション | ・患者さんの疾患に対する治療 ・病状発症以前の状態まで回復させ、在宅復帰に向けたリハビリテーション |
患者が自立した生活を送れるよう在宅復帰や職場復帰を目指す点はどちらも同じですが、目的や役割、対象疾患、入院日数などが異なります。
回復期リハビリテーション病棟の看護師の役割
回復期リハビリテーション病棟に勤務する看護師の役割は、患者の身体状態の管理、リハビリのサポートのほか、患者とご家族の精神的ケアにあたることです。急性期を乗り越えたからといって、合併症のリスクや社会復帰への不安を感じている方は多いです。日常生活全般のお手伝いを行いながら、患者が安心してリハビリを進められるよう寄り添う必要があります。
また、前述したように回復期リハビリテーション病棟では、患者に最適な治療・処置を提供ために多職種が連携するチーム医療が重要となります。その中でも看護師は、診察・治療から生活上のサポートまで患者と密に関わる業務を行うことから、チーム医療の中心的役割を担っています。チームの連携を円滑にするための橋渡し役として、他の職種のスタッフや患者・ご家族など多くの人とコミュニケーションを取らなければならない重要な存在です。
看護師が回復期リハビリテーション病棟で働くメリットとデメリット
ここからは、看護師が回復期リハビリテーション病棟で働くメリット・デメリットをご紹介します。
メリット
リハビリテーションでの業務を通して、機能回復から社会復帰までの経過を間近で見ることができるのが回復期の看護師ならではのメリットといえるでしょう。回復期では、急性期よりも一人の患者と深く関わるため、時間をかけて信頼関係を築くことができます。患者の身体機能がどんどん回復し、笑顔で退院していく様子を見ることに大きなやりがいを感じている看護師は多くいます。
また、回復期リハビリテーション病棟ではリハビリ計画や退院予定に基づいて治療が実施されます。そのため、急変対応などの残業が発生することが少なく、働きやすい環境でワークライフバランスを保てるという点があります。
デメリット
回復期看護師の業務は、病状が安定している患者に対するバイタル管理やリハビリ、介助のサポートがメインです。そのため、排泄介助、着替えなどに関するナースコールが頻繁に鳴ります。幅広い疾患に関わりたい方や看護スキルを磨きたい方には、医療行為を行う機会が少ないという点で物足りなさを感じるかもしれません。また、チーム医療を円滑に進めるには各医療スタッフとの関係性の構築が必要なため、チームワークが苦手な方は不向きといえるでしょう。
回復期看護師として働くのが向いているのは?
回復期看護師として働くのに向いているのは以下のような看護師です。
- じっくり患者と向き合いたい人
- ワークライフバランスを保ちたい人
- やりがいを得ながら働きたい人
- 看護師としての経験を積みたい人
- チーム医療に興味がある人
- 積極的なコミュニケーションや情報共有ができる人
回復期リハビリテーション病棟に入院する患者は、長い期間リハビリを行って社会復帰を目指します。患者と真摯に向き合い、身体機能の回復や生活動作の改善に向けてチームワークを築けられる方が回復期の看護師に向いているでしょう。
回復期の看護師への転職はエージェント利用がおすすめ
回復期の看護師への転職を考えている方や、現職を続けながら次の転職先を探したい方は、転職エージェントの活用がおすすめです。転職エージェントは、転職に関する有益な情報を提供し、転職活動をサポートしてくれる心強い味方です。
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まとめ
今回は、回復期で働く看護師の役割やメリット・デメリット、どんな方が向いているかについてご紹介しました。回復期での看護は、患者の退院後の生活を左右する重要な期間です。回復期の看護師としての役割を理解し、今の状況やキャリアプランなどを考えて自身に合った方法で転職活動を進めましょう。
kiralike編集部
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