保育士なら知っておこう!インフルエンザなどの保育園で冬に流行る感染症対策

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インフルエンザ予防の手洗い
秋・冬から初春に掛けては、インフルエンザをはじめとするウイルス性疾患などの感染症が流行しやすい時期です。ノロウイルスやロタウイルスなどの嘔吐・下痢を伴う感染症も、寒い季節に流行します。

たくさんの園児が集まる保育園では感染が拡がるスピードも速いことから、対応に頭を悩ませる保育士さんも多いことでしょう。

そこで今回は、保育園内で冬に流行することの多い感染症、インフルエンザ、ノロウイルス、ロタウイルスに関する基本的な対策についてご紹介します。園児だけではなく、保育士内での感染を拡げないためにも、ぜひご参考にしてください。

保育園で冬に流行する感染症とは?

感染症のウイルス
ここでは、特に冬に保育園で流行しがちな3つの感染症について、症状・潜伏期間・出席停止期間などをご紹介します。もちろん感染症の診断を下すのは医師ですが、保育士も具体的な症状などを把握しておくことで感染症にいち早く気が付くことができ、保護者や嘱託医への連絡もスムーズにできるでしょう。

インフルエンザ

発熱・頭痛などの一般的な風邪と共通する症状も多いですが、ウイルス性であるインフルエンザの場合は特に関節痛・倦怠感など全身に強い症状が現れる点が特徴です。
感染してから症状が現れるまでの「潜伏期間」は、1日~3日ほどとされています。
症状が確認され診断が下りたらその時点から園児の園への出席は見合わせていただきます。保育士が罹った場合も、もちろん同様です。

保育園児の場合の出席停止期間は「発症から5日以上」かつ「熱が下がってから3日以上」が経過するまでとされています。なお、成人や小学生以上の児童の場合は「発症から5日以上」かつ「熱が下がってから2日以上」が経過するまでです。

これは学校保健安全法という法律で定められた出席停止期間ですから、無用に感染を拡げてしまわないためにも遵守していただくようにしましょう。

ノロウイルス

ノロウイルスは、胃腸の症状で知られる「感染性胃腸炎」の病原体の中でも、感染力が強く症状が重いことが特徴のウイルスです。
潜伏期間は約2日~4日とされ、症状は発熱や下痢・嘔吐が中心です。特に下痢と嘔吐はほぼ同時に発症し強い症状が続くため、体力のない乳幼児は重症化しやすい危険もあります。中でも、脱水への対策は重要になるでしょう。

保育園での出席停止期間は学校保健安全法で定められていませんが、下痢や嘔吐が治まるまでは登園や出勤は控えていただくほうが良いでしょう。下痢や嘔吐の症状が改善した後も1週間ほどは便などでウイルスが排出され続けます。必ず病院を受診し、医師の指示を仰ぐよう伝えてください。

ロタウイルス

ロタウイルスも「感染性胃腸炎」の原因となる代表的なウイルスで、乳幼児への感染が多いことで知られます。
潜伏期間は約2日~5日で、症状はノロウイルスと同様に発熱・下痢・嘔吐が中心です。中でも便が白に近い淡色になる症状で知られ、「白色便性下痢症」という別名もあります。

出席停止期間は法律では定められていませんが、症状が回復するまではしっかり休養し、その後も1週間ほどはウイルスによる感染拡大を防ぐ配慮が必要でしょう。

保育園内で感染症が疑われる症状が発生したら

もし、園内で園児に高熱や下痢・嘔吐などの感染症が疑われるような症状が見受けられた場合、どのような対策を行うべきなのでしょうか。ここでは、園児に感染症が疑われる場合の適切な対処について、ご紹介します。

まずは別室へ移動させる

体温計と乳児園内で感染症疑いと見られる体調不良の園児がいる場合は、まず感染を防ぐために医務室や事務室などの教室以外の場所に移動させ、他の園児から遠ざけます。体温を小まめに測定する、嘔吐の回数を記録するなどして、園児の体調変化をノートなどに記しましょう。

保護者へ連絡を取る

電話での連絡体温が一定温度を越えた場合や、下痢・嘔吐の回数が園で定めている回数を越えた場合は、速やかに保護者へ連絡を取ります。園児の様子や症状について伝えた後、感染症の疑いがあるためできるだけ早く病院を受診させてほしい旨を伝え、何時頃にお迎えに来ていただけるのかを確認してください。

看護師や嘱託医に相談をする

保護者への連絡などと並行して、園の看護師や嘱託医へ報告をして、園児にどのような対処をすれば良いのか指示をもらいましょう。

保育園での感染や感染拡大を防ぐためには?

発症した園児への対処も大切ですが、その際の感染拡大予防や日頃からの感染予防も大切ですね。ここでは、園内での感染症の発生や拡大を防ぐために行っておきたいことについて、ご紹介します。

うがいや手洗いの励行

感染症対策のうがい日々うがいや手洗いをしっかり行い、感染経路として特に多いとされる手指からの感染を防ぎましょう

手洗いをする際はハンドソープや殺菌力のある石鹸を使い、洗い残しがないよう細かいところまでしっかり汚れを落とすことが大切です。掌のシワの部分や爪の間、指の付け根などは洗い残してしまいやすいため、入念に洗うよう指導します。しっかり手洗いをした後は、泡が残らないよう30秒以上掛けて水やぬるま湯で洗い流しましょう。

うがいをする際は、まず水を口に含んだら口の中を洗浄する「ブクブクうがい」を1度行います。以降は、上を向いて声を出しながら喉をすすぐ「ガラガラうがい」を行います。

いずれのうがいも、冷たい水が体温で温まってきたと感じたら吐き出すぐらいの時間配分で行うと良いでしょう。

おむつや嘔吐物の処理

嘔吐物の処理インフルエンザの場合はアルコールでの消毒が有効ですが、ノロウイルスやロタウイルスはアルコールで消毒しても効き目がないため、注意が必要です。感染性胃腸炎の場合は、次亜塩素酸ナトリウムを使用する必要があります。キッチン用の塩素系漂白剤などを薄めたものを使用して、下痢や嘔吐などの処理を行いましょう。

処理した手指からも感染する可能性があるため、保育士が嘔吐物やおむつの処理をする際には、必ずゴム手袋などの手袋を使用してください。また、手袋を外すときまで感染の可能性があるため、汚物に直接触れないよう十分な配慮をしましょう。

床などに園児が嘔吐してしまった場合には、手袋をしてまずペーパータオルで拭き取り、その後は基準に即して希釈したキッチン用塩素系漂白剤などで床面を拭きます。

おもちゃや衣類などに嘔吐してしまった場合は、次亜塩素酸ナトリウム消毒のほか熱湯消毒も有効です。85度以上のお湯に1分間以上漬けるか、アイロンを当てて熱で消毒します。床などを拭き取った後のペーパータオルや使用済み手袋も、直接触らないようごみ袋などに入れて速やかに捨てましょう。

感染が判明したら、登園・出勤を控えてもらい保健所などへ報告を

感染症に罹っていることが分かったら、該当する園児には登園を控えてもらい、休養を最優先にしてもらいます。保育士が罹患した場合も、同様に出勤を停止します。接触を防ぐことで感染拡大の予防につなげるほか、該当する園児の早期回復・復帰に努めましょう。

また、感染者数が一定数を越えた場合には、保健所や市区町村へ報告をする必要があります。自治体内での情報共有は感染拡大を防ぐために重要ですので、報告漏れがないよう注意してください。

保育園で流行する感染症に関するまとめ

今回は、冬に流行しやすい主な感染症に関する基礎知識や、保育園での感染・感染拡大を防ぐためのポイントについてご紹介しました。

インフルエンザやノロウイルス・ロタウイルスなどの感染性胃腸炎は、保育園で毎年のように流行します。急な発熱や下痢・嘔吐などの感染症が疑われる症状が出た場合は、園児を別室へ移動させ看護師や嘱託医などの指示を仰ぎましょう。また、日頃のうがいや手洗いなども細かく指導を行い、感染を防ぐよう努めることも大切です。

正しい知識を持って日々の保育にあたり、感染症対策を意識しましょう。

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kiralike編集部

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