2020年に変わった「認定看護師制度」すでに持っている場合はどうする?再構築のポイントと資格取得のメリットをおさらい

公開日: 更新日: 看護師の働き方・環境

高齢化に伴い医療・介護の需要増加が見こまれる中、質の高い医療・介護サービスが、必要な時に切れ目なく提供され、在宅医療や地域医療の充実につながるようにと、日本看護協会が「認定看護師制度」の見直しを発表しました。特定分野ごとに、看護のエキスパートであることを認める認定看護師制度。看護師人生を歩むうえでさまざまな理由から強みとなるこの制度に、注目している方も多いのではないでしょうか。

今回は、認定看護師取得のメリットから、これまでの認定看護師制度(以下、旧認定制度)と2020年以降の新たな認定看護師制度(以下、新認定制度)との違いなどをご紹介します。

「認定看護師」とは?

日本看護協会が行う認定看護師制度は、専門看護師、看護管理者の育成を目的に1995年に誕生しました。それから20年以上が過ぎ、医療をとりまく環境の変化や、特定行為研修の重要性の高まりをうけて、制度が見直されることになりました。2018年7月の時点では、1万9,835名の看護師が認定登録をしていて、その約9割が病院で働いています

※新認定制度への改正後の目的や役割、受験要項については、日本看護協会HP「認定看護師」ページより引用。

認定看護師制度の目的

特定の看護分野において、熟練した看護技術及び知識を用いて、あらゆる場で看護を必要とする対象に水準の高い看護実践のできる認定看護師を社会に送り出すことにより、看護ケアの広がりと質の向上を図ることを目的とする。」と示されています。

認定看護師の役割

前述の「目的」を元に、医療現場においてリーダーシップを発揮し、活躍する認定看護師の役割は、以下のとおり示されています。

① 特定の看護分野において、個人、家族及び集団に対して、高い臨床推論力と病態判断力に基づき、熟練した看護技術及び知識を用いて水準の高い看護を実践する。<実践>

② 特定の看護分野において、看護実践を通して看護職に対し指導を行う。<指導>

③ 特定の看護分野において、看護職等に対しコンサルテーションを行う。<相談>

受験要件

認定看護師になるためには、以下の要件を満たしている必要があります。また、資格には有効期間があり、認定から5年ごとに認定更新を行います。

① 日本国の看護師免許を有すること。

② 看護師免許を取得後、通算5年以上の実務研修をしていること。

③ 前号の研修について、所定の基準を満たした特定の認定看護分野における研修が3年以上含まれていること。当該基準は、制度委員会の答申を経て会長が定めるものとする。

④ 認定看護師教育課程を修了していること。

認定看護師取得のメリット

認定看護資格を取得することによってさまざまなメリットがあります。

① ワンランク上の知識とスキルが身につく

医師の不在時に治療がストップしてしまうことや、変化する患者さんの病状にタイムリーに対応できないことにジレンマを感じている」「医師など他の職種の方に質問や相談をされるがすぐに答えられなかったり、はっきりとした根拠を持って答えられなかったりすることにもどかしさを感じている」という方にはぜひとも取得していただきたい資格です。

② 活動の範囲が広がる

一般的には自分が配属された部署でのみ看護を行うことになりますが、認定看護師資格を取得することで他部署、さらには他の病院でも自らの知識やスキルを伝える場が増えていきます。指導者としての発言や行動の説得力が増すだけでなく、組織全体の看護の質の向上にも貢献することができます。組織のマネジメントや教育、管理職に興味があるという方にもオススメです。

③ 夜勤の回数が減る・免除される

勉強会の企画、他部署への指導や外来の相談窓口といった業務を日中に行うことが多く、認定看護師資格を持った方は夜勤回数を減らす、あるいは夜勤を免除、としている病院が多数あります。ただしこれは病院によって異なるので気になる方は確認を。

④給与がアップする

資格を持っている看護師に対して手当を支払う病院もあります。また、資格を取ることで管理職への昇進にプラスの影響を与えることができます。管理職になることで給与アップが望めます。

再構築のポイント① 「認定看護分野」を再編

旧認定制度では、それぞれの医療ケアを行う特化分野として21分野が設定されていました。新認定制度では、新規で資格取得ができる19分野旧認定制度での資格保有者が更新のみを行う12分野計31分野となります。

【10分野】2020年度以降に新認定制度の教育を開始

■がん薬物療法看護

■生殖看護

■在宅ケア

■呼吸器疾患看護

■心不全看護

■脳卒中看護

■腎不全看護

■摂食嚥下障害看護

■小児プライマリケア

■クリティカルケア

【9分野】旧認定制度の教育を2026年まで実施、かつ2020年度以降に新認定制度の教育を開始

■緩和ケア

■認知症看護

■手術看護

■糖尿病看護

■皮膚・排泄ケア

■感染管理

■がん放射線療法看護

■乳がん看護

■新生児集中ケア

【12分野】旧認定制度の教育を2026年まで実施、更新・再認定は永続的に可能

以下の分野での資格取得後は、特定行為研修の修了などの条件を満たすことで、相当する新認定制度の特定分野での認定看護師資格を得られます。

■がん性疼痛看護

■救急看護

■集中ケア

■がん化学療法看護

■不妊症看護

■訪問看護

■慢性呼吸器疾患看護

■慢性心不全看護

■脳卒中リハビリテーション看護

■透析看護

■摂食・嚥下障害看護

■小児救急看護

再構築のポイント② 教育課程に「特定行為研修」を組み込み

新認定制度の教育課程では、2015年10月から開始されている「特定行為研修」が必須課程として組み込まれることになりました。

特定行為研修とは

2025年に向け、在宅医療等を充実させていくには、看護師のさらなる活躍が不可欠となります。そこで「医師又は歯科医師の判断を待たずに、医師・歯科医師があらかじめ作成した手順書(指示)に則って、一定の診療の補助を行う」看護師を育てることを目的に、この研修制度は始まりました。特定行為は呼吸器関連や循環器関連など、38行為21区分があり、計315時間の研修を行います。

働きながら実習が受けられる施設も!

特定行為研修には共通科目と区分別科目があり、そのすべてや一部を働きながら受講できる施設・病院があります。さらに、条件によっては助成金を受けられる施設もありますので、ぜひ活用を!

各施設で受講できる区分の詳細、助成金の有無などは、厚生労働省のポータルサイト「看護師の特定行為研修制度」で確認できます。

新認定制度の特定分野への更新時にも必要

先ほど「認定看護分野を再編」で紹介した、12分野(旧認定制度の教育を2026年まで実施、更新・再認定は永続的に可能)をすでに取得している方や2029年度の認定審査終了までに取得を考えている方は、更新時に新認定制度の特定分野(取得制度の相当分野)への移行を希望する場合、特定行為研修の修了が必要になります。

旧認定制度での更新もできるので、将来の展望にあわせて検討しましょう。

これからの制度移行スケジュール

新認定制度への移行は一斉に行われる訳ではなく、2030年度の完全移行を目指し、まずは2020年度に新認定制度の教育課程がスタートします。以下では、「これから認定看護師を目指す方」「すでに認定看護師を取得されている方」に分けて、気になる移行スケジュールをご紹介します。

 

これから認定看護師を目指す方

2020年度~新認定制度の「教育」開始
2021年度~新認定制度の「認定審査」開始
2026年度~・旧認定制度の「教育」終了

・新認定制度の「更新審査」開始(認定・更新から5年ごと)

2029年度~旧認定制度の「認定審査」終了

※新認定制度では、再認定審査は実施しません。

すでに認定看護師を取得されている方

現在~旧認定制度の「更新」「再認定」は継続
2021年度~新認定制度への「移行」「移行後の認定更新」開始

(旧認定制度での資格取得者対象/特定行為研修要)

まとめ

認定看護師は、さまざまな分野の中から自分の興味や進みたい方向性に合わせて選ぶことができます。取得することで自分の自信につながるだけでなく、昇進や転職の際にも有利な強みとなります。そして何より、手に入れた知識やスキルを患者さんの健康や命のために生かすことができます。時間や金銭的な制約がある中で、簡単に取得できる資格ではありませんが、これからの自分のために目指してみてはいかがでしょうか。

※認定看護師制度再構築の詳細については、日本看護協会サイト「新たな認定看護師制度の推進」でご覧いただけます。

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タグ : 看護の資格
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