介護の一人夜勤は多い?介護施設の夜勤の実態やメリット・デメリットとは?

公開日: 更新日: 介護の仕事

慢性的な人手不足が課題とされている介護現場において、一人夜勤が日常化していると言われていますが、実際はどのような状況なのでしょうか。また、違法ではないのか、そもそも夜勤はどのような業務を行うのか、疑問に感じている方もいらっしゃることでしょう。今回のコラムでは、介護施設の夜勤の実態や、メリット・デメリットについてご紹介します。

介護施設で一人夜勤は多い?

小規模の介護施設を中心に、1人で夜勤を行うことは珍しくないようです。

「介護施設夜勤実態調査」(※1)によると、二交代制の夜勤で2名以上の体制が採用されているのは調査対象の施設の約4割で、残りの6割は1人で対応しているそうです。グループホームや小規模多機能施設では全ての施設が1人体制となっていることからも、介護施設で一人夜勤になる可能性は高いといえます。

一人夜勤は違法ではない?

一人夜勤はいわゆる「ワンオペ」の状況ですが、そもそも法的には問題ないのでしょうか。結論から言えば、厚生労働省が定める人員配置基準を満たしていれば違法とはならないようです。
現状、厚生労働省が定めている人員配置基準は以下のようになっています。

夜勤の人員配置基準(※2)

施設             利用者:職員

特別養護老人ホーム        25:1

介護老人保健施設         20:1

グループホーム           9:1

小規模多機能型居宅介護       9:1

短期入所生活介護施設       25:1

上記で人員配置基準が設けられていない施設については、「要介護者が1人でもいる場合、介護職員を1人置くことが必要」(※3)とされています。そのため、最低1人の介護職員がいれば問題ないと捉えることができます。
ただ、違法ではないとはいえ一人夜勤によって負担が大きくなっている場合や、休憩・仮眠が十分に取れず体調を崩してしまう働き方は適切とはいえません。今の職場の人員配置に不満を持っている方で、施設の改善が見込めない場合は職場を変えることを検討することも一つの手段です。

夜勤の実態について

実態を知り、不安なく勤務できるよう介護職の夜勤について解説します。

勤務時間

日本医療労働組合連合会の「介護施設夜勤実態調査」(※4)によると、調査対象となった介護施設143件の9割近くが二交代制をとっており、そのうちの約7割が勤務時間16時間以上となっています。
夜勤の時間帯について、実際のキララサポートの求人を例にご紹介します。

  • 北海道札幌市 一般病院 介護福祉士常勤 二交代シフト制

日勤 8:45~17:00

夜勤 16:45~翌9:00

  • 東京都足立区 介護付き有料老人ホーム ヘルパー常勤 シフト制

早番 7:00~16:00

遅番 10:30~19:30

夜勤 16:30~翌9:30

  • 大阪府 大阪市 介護付き有料老人ホーム 介護福祉士常勤 シフト制

早番 7:30~16:30

遅番 11:00~20:00

日勤 9:00~18:00

夜勤 16:00~10:00

施設やシフトにもよりますが、夕方16時~9時までの時間帯を夜勤とするのが一般的なようです。

出勤回数

看護師とは異なり、労働基準法では介護職員の夜勤に対して上限回数は定められておらず、法的な制限はありません。

二交代シフト制の1ケ月の夜勤出勤数は、4~5回が一般的なようです (※5)。三交代制となると1回当たりの夜勤時間が短い施設もあり、最多で8回など、一か月あたりの夜勤回数は多くなる傾向にあるようです。

夜勤の業務内容

夜勤の業務内容について、一例をご紹介します。基本的には日勤と変わりませんが、レクリエーションや入浴介助はほぼありません。
※時間帯や内容等は施設によって異なります。

引継ぎ
夜勤として出勤してはじめに行う業務は日勤の人からの引継ぎです。引継ぎ方法は施設によって様々ですが、主に日中の利用者や患者に起きた変化や注意点の共有がメインです。

夕食のサポート
引継ぎ後、17時~18時にかけて夕食の準備や食事・服薬介助を始めます。

排せつ介助
就寝に向けトイレ介助やおむつ交換を行います。歯磨き、着替えもこの間に行う施設が多いようです。

安否確認
消灯後は1、2時間おきに巡回します。利用者に変わった点はないかをチェックし、必要に応じトイレ誘導やおむつ交換を行います。
この時間帯に休憩をとりつつ夜間巡回の合間に介護記録など事務作業を行う方が多いそうです。ナースコールが鳴ればすぐに対応しなければなりませんが、問題が起きなければ比較的穏やかな時間といえます。

起床介助
5時~6時にかけて、起床介助が始まります。車いすへの移乗補助、着替えやトイレ介助などが主な業務です。

朝食のサポート
夕食時と同様、準備から食事介助・服薬介助を行います。

申し送り、退勤
日勤スタッフに夜間の情報や注意事項を共有し、退勤します。

夜勤のメリット

ベッドで音楽を聴く女性昼の時間が自由に使える

勤務時間16時間前後のいわゆる「ロング夜勤」だと、夜勤明けと翌日が休みになる場合がほとんどです。一日半以上が自由な時間になるため、趣味や子育ての時間をまとめてとることができます。

高給与が期待できる

夜勤手当がもらえることは、やはり夜勤の大きなメリットといえます。夜勤手当の金額は施設により様々ですが、一回当たり5,000円~10,000円程度が一般的なようです。介護職員の一か月の夜勤回数が4,5回なので、夜勤に入ると20,000円~50,000円の収入アップが期待できます。

スキルアップに繋がる

日勤よりも少ない人数で現場対応することが多い夜勤は、効率良く仕事を進める力が身につきます。また、緊急のトラブルにも適切に対応していかなければならないため、早く経験を積みたい方にはメリットといえるでしょう。

夜勤のデメリット

疲れている女性体調を崩しやすい

日勤と夜勤を繰り返す生活になるため、生活リズムが狂い、体調を崩す方が多いようです。また、拘束時間が長いため体力が続かず辛いと感じる、という声もあります。夜勤の生活に慣れていない方は特に注意が必要でしょう。
介護士の方の中には、夜勤のみの方が、かえって生活リズムが整って過ごしやすいという方もいます。高給与などメリットの多い夜勤に魅力を感じている方は、夜勤のみで勤務する「夜勤専従」という働き方もあります。

少人数での対応となる

複数の職員で協力し合える日勤とは異なり、少人数で対応していかなければならないのが夜勤の特徴です。1人ひとりに正確な判断や行動が求められるため、日勤よりも責任が重くなるといえます。

一人夜勤が不安な方の解決案

一人夜勤が不安な場合、どのように対策していけばよいのでしょうか。

まずは日勤からスタートしてみる


介護のお仕事自体の経験が浅く、一人夜勤が不安な方は日勤のみの勤務から始めてみましょう。夜勤帯よりも日勤帯の方が人数は多く、困った時にサポートしてもらいやすい傾向にあります。日勤のみの求人も多く、まずは経験を積み、慣れてから夜勤ありのお仕事を始めることをおすすめします。
また、経験の浅い方はまず日勤のみで勤務し、業務が身についてから同じ夜勤に挑戦させてくれる職場もありますので、求人探しの際にチェックしてみてください。

医師、看護師が常駐している施設で勤務する

利用者の体調に異変が生じた際の対応に自信がない方は、医療体制の整っている施設を選びましょう。医師や看護師が24時間常駐している施設なら緊急時に頼ることができるので、不安や負担は軽減できる場合が多いといえます。

職場を変えてみる

どうしても一人夜勤が不安な場合は、2人以上で人員を配置している施設に転職することも検討しましょう。法的に問題がなくとも、職員の負担や利用者の安全面を考えると、やはり一人夜勤ではない職場の方が安心感は高いといえます。手厚い施設の夜勤では、施設の各フロアに担当者を1名配置し、プラス1名を施設全体のフリー担当に置くことで休憩や緊急時の対応にあたれるようにしているところもあります。
施設によって配置の厚さは様々ですので、不安な方は詳しい転職エージェントに相談してみてくださいね。

まとめ

介護施設における夜勤の実態と、一人夜勤についてご説明しました。慢性的な人手不足が続いている介護業界では、一人夜勤の体制を採用している施設が多いのが現状です。1人で夜勤に対応することは簡単ではありませんが、経験を積むことで適切な対処ができるようになる方が多いようです。
また、夜勤と日勤で大きく違う点はやはり対応する人数が少なくなることです。業務量に対して配置されている人数が少ない場合や一人での夜勤対応が辛い場合は、他の職場を見てみてもいいかもしれません。

介護の夜勤に関するよくある質問

Q. 夜勤専従の求人はありますか?

日勤のみを希望する方もいらっしゃるため、夜勤専従での募集も多くございます。ただし、派遣やパートの求人が多いため、常勤での勤務を希望される方は求人を見つけたらすぐに問合せすることをおすすめします。

Q. 夜勤はつらいと聞きますが本当ですか?

夜勤勤務は慣れるまではつらいと感じる介護士さんが多いようです。一方で、慣れてしまえば月数回の夜勤もこなせるようになりますし、夜勤手当や夜勤明けの休みの長さなど、メリットも沢山あるといえます。

Q. 一人夜勤の際に気を付けるべきことはありますか?

緊急時の対応を1人で行わなければならないため、新人の方や業務フローに自信がない方は注意が必要です。施設によっては入職後しばらくは先輩が一緒に夜勤に入ってくれるところもあり、不安な方はサポート体制の整っている職場を選ぶとよいでしょう。

参考(キララサポート以外のサイトに移動します)
※1、2、3 「厚生労働大臣が定める夜勤を行う職員の勤務条件に関する基準」
※4、5 「介護施設夜勤実態調査」

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タグ : 夜勤
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kiralike編集部

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